文学史

共通テスト対策

この科目の共通テストでの傾向

共通テストの「国語」は、現代文(評論・小説)、古典(古文)、漢文という、初めて読む本文を正しく読み取る読解力を中心に構成されており、文学史の知識だけを単独で問う大問は、基本的には出題されません。この点で、文学史は「単独で得点源になる分野」というよりも、「読解を支える背景知識」として位置づけて対策する必要があります。

とはいえ、文学史の知識が無関係というわけではありません。まず、古文・漢文の本文には、必ず「いつ・誰が・どのようなジャンルで書いたか」という出典情報が示されます。この出典を見た瞬間に、「平安時代の女流日記文学だから、恋愛や人間関係の機微が描かれているだろう」「鎌倉時代の説話文学だから、教訓的な結末になるだろう」といった見通しを立てられれば、本文の内容を予測しながら効率よく読み進めることができます。つまり文学史の知識は、初見の本文に対する予備知識・補助線として、読解のスピードと正確さを直接支える力になります。

また、大学によっては独自の個別試験(特に私立大学)で、文学史そのものを問う出題が行われることもあり、共通テストと二次試験・私大入試を両方視野に入れる受験生にとっては、決して軽視できない分野です。定期テストにおいては、文学史はストレートに出題される頻出分野であり、評定にも直結します。

対策としては、①各時代の全体像(政治的背景・文化の担い手)をまず大づかみに理解し、②その上で代表的な作者・作品を、ジャンルごとに整理して覚える、という2段階の学習が効果的です。丸暗記に頼るのではなく、「なぜこの時代にこのジャンルが栄えたのか」という因果関係を理解しておくと、忘れにくく、初見の資料問題にも応用が利く知識になります。

単元別の対策ポイント

古典文学史

  • 上代(奈良時代)・中古(平安時代)・中世(鎌倉・室町時代)・近世(江戸時代)という4つの時代区分を、政治の中心の移り変わり(朝廷・貴族→武士→町人)とセットで、まず正確に押さえましょう。「中古」と「中世」の混同は、最も頻出する間違いです。
  • 中古文学は「もののあはれ(源氏物語)」と「をかし(枕草子)」、中世文学は「無常観(平家物語・方丈記・徒然草)」というように、各時代を象徴するキーワードと代表作を、必ずセットで覚えましょう。
  • 三代集・八代集といった勅撰和歌集の系譜、三大随筆(枕草子・方丈記・徒然草)といった作品群のまとまりは、単発の知識としてではなく、グループごと覚えることで記憶の負担を減らせます。
  • 近世文学は、元禄文化(上方中心・西鶴/浮世草子・芭蕉/俳諧・近松/浄瑠璃)という基本の3人3ジャンルを確実に覚えた上で、化政文化(江戸中心・国学や読本)を発展知識として加えましょう。

近代・現代文学史

  • 明治文学は、「言文一致(二葉亭四迷)→写実主義(坪内逍遥の理論)→浪漫主義(森鴎外・樋口一葉)→自然主義(田山花袋・島崎藤村)→反自然主義(夏目漱石・森鴎外)」という流派の変遷を、時系列のストーリーとして理解しておくと、単発の丸暗記より忘れにくくなります。
  • 大正〜昭和戦前は、白樺派・耽美派・プロレタリア文学・新感覚派という4つの流派が同時期に並び立つため、「それぞれが何を最も重視しているか(自己肯定・美の追求・社会変革・表現の革新)」という理念の違いに注目して区別しましょう。
  • 戦後文学は、「戦後派(戦争体験・重厚)→第三の新人(日常性・私小説的)→大江健三郎ら(国際的評価)→村上春樹ら(現代)」という大きな流れをまず押さえ、日本人のノーベル文学賞受賞者(川端康成1968年・大江健三郎1994年)は年号とセットで正確に覚えておきましょう。
  • 作者と代表作の組み合わせは、「AとBの代表作を入れ替える」という形のひっかけ選択肢が非常に多いパターンです。似た時期・似たジャンルの作家どうしは、特に注意して区別しましょう。

実戦問題

文学史の知識を、実戦形式の選択問題で確認してみましょう。

実戦問題1

問題

平安時代に成立した文学作品として適当でないものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① 源氏物語 ② 枕草子 ③ 徒然草 ④ 土佐日記

解答・解説を見る

①『源氏物語』(紫式部)、②『枕草子』(清少納言)、④『土佐日記』(紀貫之)は、いずれも平安時代(中古)に成立した作品です。

これに対して③『徒然草』は、鎌倉時代(中世)に兼好法師によって書かれた随筆であり、平安時代の作品ではありません。「中古」と「中世」を混同していると、この選択肢を誤って選んでしまう可能性があります。時代区分を正確に区別することが、この問題を解く鍵になります。

答え:③

実戦問題2

問題

次の作者と、その作者が属する近代文学の立場(流派)の組み合わせとして、最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① 田山花袋 ― 浪漫主義 ② 夏目漱石 ― 自然主義 ③ 谷崎潤一郎 ― 耽美派 ④ 小林多喜二 ― 新感覚派

解答・解説を見る

①は誤りです。田山花袋は『蒲団』の作者であり、自然主義を代表する作家です。②も誤りで、夏目漱石は自然主義とは距離を置く「余裕派(高踏派)」に分類されます。④も誤りで、小林多喜二は『蟹工船』の作者であり、プロレタリア文学を代表する作家です(新感覚派は川端康成・横光利一)。

③は正しく、谷崎潤一郎は『痴人の愛』『刺青』などの作品で知られる耽美派の代表的な作家です。作者名と流派の組み合わせを、代表作とあわせて正確に覚えているかが問われる問題です。

答え:③

実戦問題3

問題

次の文章が説明している作品として、最も適当なものを、あとの①~④のうちから一つ選べ。

「後鳥羽院の命により藤原定家らが編纂した勅撰和歌集で、平安時代の古今和歌集から数えて8番目にあたる。古い和歌の語句や発想を取り入れて新しい歌を詠む技法が高度に発達したことで知られる。」

① 万葉集 ② 古今和歌集 ③ 新古今和歌集 ④ 山家集

解答・解説を見る

「後鳥羽院の命」「古今和歌集から数えて8番目」という記述から、この作品が八代集の最後に位置する勅撰和歌集であることがわかります。八代集の最後にあたるのは③『新古今和歌集』です。

①『万葉集』は上代の和歌集で勅撰ではなく、②『古今和歌集』は八代集の最初(1番目)の作品です。④『山家集』は西行の私家集であり、勅撰和歌集ではありません。「古い和歌の語句や発想を取り入れる技法」という記述も、『新古今和歌集』の時代に高度に発達した「本歌取り」と一致しており、この点からも③が正解と判断できます。

答え:③