古典(古文) / 助動詞

頻出解法パターン

パターン1: 「なり」の識別(断定 vs 伝聞推定)

こんな問題で使う

文中の「なり」が、断定と伝聞推定のどちらの意味で使われているかを問う問題。

解法の手順

  1. 「なり」の直前の語を確認する。
  2. 体言(名詞)、または連体形に接続していれば断定と判定する。
  3. 終止形に接続していれば伝聞推定と判定する。
  4. 直前がラ変・ラ変型活用語(あり・をり・形容詞のカリ活用など)の場合は、どちらも連体形に接続するため接続だけでは決まらない。この場合は、噂として聞いた話か(伝聞)、音などの根拠に基づく推量か(推定)、単なる言い切りか(断定)を文脈から判断する。

具体例

「これは名高き笛の音なり。」の「なり」は体言「音」に接続しているので断定。「笛の音、遥かに聞こゆなり。」の「なり」は終止形「聞こゆ」に接続しているので伝聞推定(ここでは推定)。

パターン2: 「る・らる」4つの意味の識別

こんな問題で使う

文中の「る・らる」が、受身・尊敬・自発・可能のどの意味で使われているかを問う問題。

解法の手順

  1. 直後や文中に打消の語(ず・じなど)を伴っているか確認する。伴っていれば可能の可能性が高い。
  2. 「思ふ・偲ぶ・泣く」など、心情・知覚を表す動詞に付いているか確認する。付いていれば自発の可能性が高い。
  3. 動作の主体が天皇・貴族など高貴な人物で、敬意を払うべき文脈かを確認する。当てはまれば尊敬の可能性。
  4. 上のどれにも当てはまらなければ、「(何か)によって~される」という受身の関係が成り立つかを確認する。

具体例

「暗くては文字も見えず、書かれず。」は打消「ず」を伴っているので可能(書くことができない)。「上の仰せられけること」は動作主が高貴な人物なので尊敬。

パターン3: 「べし」6つの意味を人称で絞り込む

こんな問題で使う

「べし」の文脈上の意味(推量・意志・当然・可能・命令・適当)を判定させる問題。

解法の手順

  1. 「べし」が付いている動作の主語(主体)が誰かを確認する。
  2. 主語が一人称(自分)なら、意志の可能性が高い。
  3. 主語が二人称(相手)なら、命令・当然・適当の可能性が高い。
  4. 主語が三人称(第三者)なら、推量の可能性が高い。
  5. 下に打消の語を伴っていれば、可能の意味である可能性を検討する(「~べくもあらず」など)。
  6. 人称だけで決まらない場合は、文中の副詞(必ず・きっとなど)や、文脈全体の道理・確信の強さから最終判断する。

具体例

「われ、都に上るべし。」は主語が一人称なので意志。「この薬を飲めば必ず病は癒ゆべし。」は「必ず」という語があるため当然。

パターン4: 「らむ」と「けむ」を接続で見分ける

こんな問題で使う

「らむ」「けむ」のどちらが使われているか、また意味(現在推量か過去推量か)を判定する問題。

解法の手順

  1. 「らむ・けむ」の直前の語の活用形を確認する。
  2. 終止形(ラ変型には連体形)に接続していれば「らむ」で、現在推量。
  3. 連用形に接続していれば「けむ」で、過去推量。
  4. 疑問語(など・なぜ)を伴っていれば、それぞれ現在の原因推量・過去の原因推量になる。

具体例

「かの人、今頃は都に着きぬらむ。」の「らむ」は終止形「ぬ」に接続しているので現在推量。「昔、この山に鬼の住みけむ。」の「けむ」は連用形「住み」に接続しているので過去推量。

パターン5: 「たり」の識別(完了・存続 vs 断定)

こんな問題で使う

文中の「たり」が、完了・存続と断定のどちらの意味で使われているかを問う問題。

解法の手順

  1. 「たり」の直前の語を確認する。
  2. 動詞の連用形に接続していれば、完了・存続の「たり」(「て+あり」由来)と判定する。
  3. 体言(特に漢語)に接続していれば、断定の「たり」(「と+あり」由来)と判定する。
  4. 完了・存続のどちらかで迷う場合は、動作が終わったことに重点があるか(完了)、その状態が今も続いていることに重点があるか(存続)を文脈から判断する。

具体例

「花咲きたり。」の「たり」は連用形「咲き」に接続しているので完了・存続。「勇者たり。」の「たり」は体言「勇者」に接続しているので断定。

パターン6: 助動詞が連続する形を後ろから分解する

こんな問題で使う

「てむ」「なむ」「ざりけり」「べかんなり」のように、助動詞が2つ以上連なっている表現の意味を問う問題。

解法の手順

  1. 連続している助動詞を、後ろの語から1つずつ切り分ける。
  2. それぞれの助動詞について、意味・接続を個別に確認する。
  3. 特に、完了の助動詞(つ・ぬ)の直後に推量の助動詞(む・べしなど)が続く形は、強意(確述:きっと~だろう)になることを思い出す。
  4. 分解した意味を、前から順につなげて全体の意味を組み立てる。

具体例

「雨降りなむ。」は、完了「な(ぬ)」+推量「む」に分解でき、完了+推量の直訳ではなく強意+推量として「きっと雨が降るだろう」と訳す。

パターン7: 「ぬ」「ね」の識別(打消 vs 完了)

こんな問題で使う

文中の「ぬ」「ね」が、打消の助動詞「ず」の一部か、完了の助動詞「ぬ」の一部かを問う問題。

解法の手順

  1. 「ぬ」「ね」の直前の語の活用形を確認する。
  2. 未然形に接続していれば、打消の助動詞「ず」の連体形「ぬ」、または已然形「ね」である。
  3. 連用形に接続していれば、完了の助動詞「ぬ」の終止形「ぬ」、または命令形「ね」である。
  4. 文末で言い切られている「ぬ」は、直前が連用形なら完了の終止形、直前が未然形であることは通常なく、その場合は連体形として下に体言や係り結びの構造がないか確認する。

具体例

「花咲きぬ。」の「ぬ」は連用形「咲き」に接続する完了の終止形。「花咲かぬ。」の「ぬ」は未然形「咲か」に接続する打消の連体形。