古典(古文) / 古文読解
演習問題
演習問題
次の文章(『徒然草』第五十二段)を読んで、あとの問いに答えよ。
仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、あるとき思ひ立ちて、ただひとり、徒歩より詣でけり。極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果たしはべりぬ。聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。
少しのことにも、先達はあらまほしきことなり。
問題1
問題
冒頭の「石清水を拝まざりければ」の「ば」は、仮定条件・確定条件のどちらか。理由もあわせて答えよ。
解答・解説を見る
「ざりけれ」は打消の助動詞「ず」の連用形+過去の助動詞「けり」の已然形です。已然形に「ば」が付いているので確定条件です。
答え:確定条件(「ざりけれ」が已然形であるため。年を取るまで石清水を拝んだことがなかったので、の意味)
問題2
問題
「尊くこそおはしけれ」の部分について、①係助詞はどれか、②結びの語と活用形を答えよ。
解答・解説を見る
①係助詞は「こそ」です。②「こそ」の結びは已然形になるので、「けり」の已然形「けれ」が結びです。
答え:①こそ/②けれ(已然形)
問題3
問題
「何事かありけん」の傍線部「か」、および文末「言ひける」の直前にある「ぞ言ひける」の「ぞ」について、それぞれの結びの活用形を答えよ。
解答・解説を見る
どちらも「ぞ・か」なので、結びは連体形になります。「か」の結びは過去推量の助動詞「けん(けむ)」の連体形「けん」自体がすでに連体形です。「ぞ」の結びは過去の助動詞「けり」の連体形「ける」です。
答え:どちらも連体形(か→けん、ぞ→ける)
問題4
問題
「ゆかしかりしかど」の「ゆかし」の意味として最も適切なものを、①美しい ②見たい・知りたい ③恐ろしい ④めんどうだ から選べ。
答え
②見たい・知りたい(「山へ登った人が何のために登ったのか知りたかったけれど」の意味)
問題5
問題
「果たしはべりぬ」の「はべり」は、謙譲語・丁寧語のどちらの用法か答えよ。
解答・解説を見る
この「はべり」は、法師が「かたへの人」(仲間)に対して丁寧に話しかけている場面で使われており、動作としての「仕える」という意味はありません。聞き手に対して丁寧に述べる用法です。
答え:丁寧語
問題6
問題
この文章のジャンルを、物語・日記・説話・随筆から選び、判断の根拠を述べよ。
解答・解説を見る
この文章には筋書きらしい筋書きはなく、仁和寺の法師の失敗談を紹介したあとに、「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」(ちょっとしたことにも、案内役はあってほしいものだ)という筆者自身の教訓的な感想が述べられています。特定の人物の身の上を時系列で綴る日記でもなく、「今は昔」で始まる説話特有の型でもありません。エピソードを通じて筆者の見解を述べる構成は随筆の典型です。
答え:随筆(『徒然草』。エピソードのあとに筆者自身の教訓的な感想が述べられているため)
問題7
問題
次の和歌について、傍線部の掛詞に含まれる2つの意味を答えよ。
「花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」
答え
降る / 経る(年月が過ぎる)
問題8
問題
次の文の傍線部の動作主を答えよ。
「翁、かぐや姫を養ひて、いつくしみ育てけり。」
答え
翁(接続助詞「て」でつながっているため、直前の主語「翁」がそのまま継続している)