漢文 / 句法の基礎(訓読の仕組み)
頻出解法パターン
パターン1: 返り点の種類を判定する手順
こんな問題で使う
初めて見る文に返り点が付いていて、まずそれがレ点・一二点・上下点のどれなのかを見極めたい問題。
解法の手順
- 返り点が付いた字から、何字先の字に返るのかを数える。
- 1字だけならレ点。
- 2字以上で、間にある字自体には返り点が付いていなければ一二点(3か所以上を区別する必要があれば一二三点)。
- すでに一二点(一二三点)が使われている範囲を、外側から囲むようにさらに大きく返るなら上下点。
具体例
「有下悪レ人者上。」であれば、内側の「悪」から「人」への返りがレ点(1字)、外側の「有」から「者」への返りは、レ点による範囲を丸ごと含んでいるので上下点、と判定できる。
パターン2: 訓読の3ステップ
こんな問題で使う
白文(返り点や送り仮名のない文、あるいは返り点だけが付いた文)を、書き下し文に直す問題全般。
解法の手順
- 返り点を確認し、読む順番を決める。
- 送り仮名を補いながら、一字ずつ日本語で読んでいく。
- 助字(置き字)を省き、送り仮名や助動詞・助詞にあたる漢字を平仮名に直して、書き下し文を完成させる。
具体例
「読(ム)レ書(ヲ)。」であれば、①レ点により「書→読」の順で読む、②送り仮名を補って「書(ヲ)読(ム)」、③平仮名に直して「書を読む。」という3ステップで完成する。
パターン3: 再読文字は「2回読む」ことを最優先で確認する
こんな問題で使う
未・将・且・当・応・宜・須・猶のいずれかの文字を含む文を、書き下し文にする問題。
解法の手順
- 文中にこの8字のいずれかがないかを、まず探す。
- 見つけたら、1回目の読み(副詞、漢字のまま)をその字の位置で読む。
- 間にある動詞・目的語などを、通常の返り点のルールで読む。
- 文末近く(多くは動詞のすぐあと)で、2回目の読み(平仮名)を補う。
具体例
「未レ知。」であれば、「未」を①「いまダ」と読み、②「知」を先に読んでから「未」に返るレ点を処理し(「知ら」)、③2回目の読み「ず」を補って、「未だ知らず。」と完成させる。
パターン4: 置き字を見分けるチェックリスト
こんな問題で使う
於・于・乎・而・矣・焉のいずれかを含む文を、書き下し文にする問題。
解法の手順
- その字が「於是(ここにおいて)」のような決まり文句の一部になっていないかを確認する。決まり文句なら実際に読む。
- 「而」が句点の直後、文頭に単独で立っていないかを確認する。単独で立っていれば「しかシテ」「しかルニ」と実際に読む。
- 上の2つに当てはまらなければ、置き字として読み飛ばし、直前(返り点で移動したあとの直前)の語に、意味に応じた送り仮名(に・を・より・て など)を補う。
具体例
「治二於人一。」ではなく、置き字のルールにより実際には「治レ於人。」のように、「於」自体には返り点を付けず、動詞「治」に付いたレ点が「於」を飛び越えて「人」に返る、という形で処理する。
パターン5: 複合的な返り点は、内側から外側へ順番に処理する
こんな問題で使う
1つの文の中に、レ点・一二点・上下点が組み合わさって使われている、やや複雑な文を読む問題。
解法の手順
- まず、いちばん小さい範囲(レ点による1字だけの返り)から処理する。
- 次に、それを含んだ一二点の範囲を処理する。
- さらに外側に上下点があれば、最後にそれを処理する。
- 内側の処理がすべて終わった字を「1つの読み終わったかたまり」とみなして、外側の返りに進む。
具体例
「楚人有下鬻レ盾与矛一者上。」では、①「盾」「鬻」のレ点(盾を鬻ぎ)→②「与」「矛」「者」をそのまま読む→③外側の「有」「者」の上下点、という内側から外側への順で処理し、「楚人に、盾と矛とを鬻ぐ者有り。」と読む。