現代文 / 設問対応の技術
傍線部内容説明問題の解き方
要点整理
傍線部内容説明問題の基本原則
「傍線部『〜』とはどういうことか」と問う設問は、現代文で最も出題頻度の高いタイプの1つです。この問題には、はっきりとした大原則があります。
答えは、自分の意見や一般常識ではなく、必ず本文中に書かれている。
傍線部そのものが比喩的・抽象的な表現になっている場合、筆者はその後(あるいは前)の部分で、同じ内容をより分かりやすい言葉で言い換えていることがほとんどです。傍線部内容説明問題を解くとは、この「本文中にある言い換え箇所」を正確に探し出す作業にほかなりません。
解答の手順
- 傍線部を、主語・述語・修飾語などの品詞のまとまりごとに分解する。
- 傍線部の中に指示語があれば、先にその指示内容を確定させる(「指示語・接続語の把握」で学んだ手順を使う)。
- 傍線部の中に比喩表現や抽象的な語句があれば、それに印をつける。
- 印をつけた部分それぞれについて、同じ内容を分かりやすい言葉で言い換えている箇所を、傍線部の前後から探す。
- 見つけた言い換え箇所を、傍線部の元の構造(主語・述語など)に沿ってつなぎ合わせ、選択肢と照合したり、記述としてまとめたりする。
言い換え箇所は前後どちらにあるか
言い換え箇所は、傍線部より後にあることも、前にあることもあります。
- 後にあるパターン:傍線部で抽象的・比喻的な表現を示し、その後で「つまり」「これは〜ということだ」と、分かりやすく言い換える。
- 前にあるパターン:傍線部が「このように」「そうした事情から」など、それまでの内容を受けた表現になっている場合、言い換えの材料は傍線部より前の段落にある。
まずは傍線部の直後を確認し、見当たらなければ直前の段落へと視野を広げる、という順序で探すと効率的です。
抽象語の言い換えに特に注意する
傍線部の中に「合理性」「疎外感」のような抽象語が含まれている場合、その抽象語がどのような具体的内容を指しているかを、本文中の別の箇所(多くは具体例の段落)から特定する必要があります。抽象語をそのまま抽象語のまま解答に使うと、「傍線部の言葉をそのまま繰り返しただけ」の説明にしかならず、内容の説明にはなりません。
例題
例題1(基本)
問題
次の文章の傍線部「それは諸刃の剣である」とはどういうことか、説明せよ。
スマートフォンは、いつでもどこでも人とつながれる手段を私たちに与えてくれた。しかし、それは諸刃の剣である。四六時中連絡が取れる状態は、裏を返せば、四六時中連絡から逃れられない状態でもあるからだ。
解答・解説を見る
傍線部の「それ」は指示語なので、まず指示内容を確定します。直前の文全体、すなわち「スマートフォンがいつでもどこでも人とつながれる手段を与えてくれたこと」を指しています。
次に「諸刃の剣である」という比喩表現を、本文中の言い換えから具体化します。直後の一文「四六時中連絡が取れる状態は、裏を返せば、四六時中連絡から逃れられない状態でもあるからだ」が、この比喩の中身を説明しています。「連絡が取れる」という利点と、「連絡から逃れられない」という欠点が表裏一体である、という内容です。
これらをつなぎ合わせて解答を作ります。
答え:スマートフォンによっていつでも人とつながれるようになったことは、裏を返せば、いつでも連絡から逃れられなくなったということでもあり、利点と欠点が表裏一体であるということ。
例題2(標準)
問題
次の文章の傍線部「量が質を裏切る」とはどういうことか、40字以内で説明せよ。
情報が容易に手に入る時代になった。だが、大量の情報に触れることは、必ずしも深い理解につながらない。むしろ、次々と流れてくる情報を追いかけるのに精一杯で、1つ1つをじっくり考える余裕を失っている人も多い。ここでは、量が質を裏切るという事態が起きている。
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傍線部は「量」と「質」という対になる抽象語で構成されています。それぞれが何を指すかを、前の文から特定します。「量」は「大量の情報に触れること」、「質」は「深い理解」に対応しています。
さらに「量が質を裏切る」の具体的な中身は、直前の一文「次々と流れてくる情報を追いかけるのに精一杯で、1つ1つをじっくり考える余裕を失っている」という説明が対応しています。これは「情報の量が増えたにもかかわらず、かえって理解の質が下がってしまう」という、量と質が逆行する関係を表しています。
これらを40字以内にまとめます。
答え:情報量が増えても、追いかけるのに精一杯で、深く考える余裕を失うということ。(37字)
例題3(応用)
問題
次の文章の傍線部「その優しさは、ときに残酷でもある」とはどういうことか、50字程度で説明せよ。
失敗しそうな相手を見て、先回りしてすべて手伝ってしまう人がいる。相手のためを思ってのことだろう。しかし、その優しさは、ときに残酷でもある。手伝われた側は、自分の力で乗り越える機会を奪われ、失敗から学ぶはずだった経験を、そのまま失ってしまうからだ。
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傍線部は「優しさ」という一見肯定的な語と、「残酷」という正反対の評価語を組み合わせた、逆説的な表現になっています。この矛盾するように見える表現の中身を、直後の一文から具体化します。
直後には「手伝われた側は、自分の力で乗り越える機会を奪われ、失敗から学ぶはずだった経験を、そのまま失ってしまうからだ」とあります。つまり「優しさ」の中身は「相手を助けてあげる行為」であり、「残酷」の中身は「その行為によって、相手が自力で乗り越え学ぶ機会を奪ってしまうこと」です。
この2つの側面――「助けようとする善意」と「結果的に成長の機会を奪う害」が、同じ1つの行為の裏表として同時に存在している、という点をまとめます。
答え:相手を助ける善意の行為が、相手から自分の力で乗り越え学ぶ機会を奪ってしまうという二面性を持つということ。(52字)
確認問題
問題
次の文章の傍線部「その静けさは、空白ではない」とはどういうことか、説明せよ。
雪が降り積もった朝の街は、いつもより物音が少なく感じられる。しかし、その静けさは、空白ではない。雪が音を吸収しているだけで、いつもと同じ生活の営みは、その下で確かに続いているのである。
答え
雪の朝の静けさは、何もない空白の状態ではなく、雪が音を吸収しているために静かに感じられるだけで、実際にはいつもと同じ生活の営みが続いているということ。