漢文 / 重要句法

頻出解法パターン

パターン1: 否定と疑問・反語が組み合わさったときの読み方

こんな問題で使う

「不亦〜乎」のように、否定の字と疑問・反語の字が同じ文の中に組み合わさっている問題。

解法の手順

  1. まず否定の部分(不・非・無など)だけを取り出し、ふつうの否定として書き下す。
  2. 文末に疑問・反語の助字(乎・哉・也・邪など)が付いていないかを確認する。
  3. 「豈」「何」などの疑問詞、または「不亦〜乎」のような決まった形があれば、反語である可能性が高いと判断する。
  4. 反語だと判断したら、「どうして〜か、いや〜ない(〜だ)」という形で、いったん疑問の形を作ってから、反対の内容を強調する訳し方にする。

具体例

「不二亦説一乎。」であれば、①「亦説ばず」(否定)、②文末が「乎」、③「不亦〜乎」という決まった形、④「亦説ばしからずや」=「なんと喜ばしいことではないか」と、反語として訳す。

パターン2: 部分否定・全部否定の判定フローチャート

こんな問題で使う

否定語(不など)と副詞(必・常・復・尽など)が同じ文にあり、部分否定か全部否定かを判定する問題。

解法の手順

  1. 文の中から、否定語と副詞の両方を探す。
  2. どちらが先に置かれているかを確認する。
  3. 「否定語→副詞」の順なら部分否定(必ずしも〜ない)。
  4. 「副詞→否定語」の順なら全部否定(決して〜ない)。

具体例

「不レ常勝。」(不常)は否定語が先なので部分否定(常には勝たない)、「常不レ勝。」(常不)は副詞が先なので全部否定(常に勝たない=いつも負ける)と判定する。

パターン3: 使役・受身の判別

こんな問題で使う

使・令・見・被・為・所・於などの字を含む文で、使役なのか受身なのかを判別する問題。

解法の手順

  1. 「使・令・遣・教」があり、直後に「(人)ヲシテ」という送り仮名の対象が続き、文末が「しむ」で終わる形なら使役。
  2. 「見・被」が動詞の直前にあり、動詞を「〜る・らる」の形にできれば受身。
  3. 「為A所B」の形があれば、「Aの Bする所と為る」という受身。
  4. 「於」が動詞の直後にあり、動詞の意味からみて主語が動作を受ける側になっていれば、於による受身。

具体例

「使二我行一。」は①に当てはまるので使役(我をして行かしむ)、「為二人所一レ知。」は③に当てはまるので受身(人の知る所と為る)と判別する。

パターン4: 於・如・若・与其の役割整理

こんな問題で使う

比較形・最上級・選択形など、於・如・若・与其が登場する、意味の似た句法を整理したい問題。

解法の手順

  1. 「形容詞・動詞+於+対象」の形なら、比較(Aは対象より〜だ)。
  2. 「莫(無)+レ点+如(若)+対象」の形なら、最上級(対象に勝るものはない)。
  3. 「与二其A一、寧B」の形なら、選択(Aするよりは、むしろBせよ)。
  4. 単独の「若・如・使」が文の初めにあれば、多くは仮定(もし〜ならば)。

具体例

同じ「如」でも、「莫レ如二A一。」なら最上級、「如レ有レ過。」のように文頭に単独であれば仮定、というように、周囲の形とセットで判断する。

パターン5: 仮定形の3つの表し方

こんな問題で使う

仮定(もし〜ならば)の意味を持つ文を、書き下し文にする問題。

解法の手順

  1. 文の初めに「若・如・使」があるかを確認する。あれば、その節の動詞を未然形+「ば」にする。
  2. 明示的な仮定の字がなくても、否定の「不」が仮定の文脈で使われていれば、「ずんば」(もし〜しなければ)と読めないか考える。
  3. 上のどちらでもない場合は、文脈(場面設定そのものが仮の話かどうか)から、仮定の意味が隠れていないかを確認する。

具体例

「若レ有レ過。」は①のパターン(もし過ち有らば)、「不レ入二虎穴一、不レ得二虎子一。」は②のパターン(虎穴に入らずんば)で仮定を表している。

パターン6: 詠嘆・反語・疑問を見分ける判断フロー

こんな問題で使う

文末が「乎・哉・也・邪・耳」などで終わる文について、詠嘆・反語・疑問・限定のどれなのかを判定する問題。

解法の手順

  1. 文末が「耳・爾・已・而已」で、文頭に「唯・独・徒・但」があれば、限定(ただ〜だけだ)。
  2. 「豈」があれば、多くは反語(ときに詠嘆の意味も重なる)。
  3. 疑問詞(誰・何・安など)があり、話し手が本当に答えを求めていれば疑問、答えがすでに明らかなら反語。
  4. 疑問詞がなく、形容詞や状態を強く述べて文末が「哉」なら、多くは単純な詠嘆。

具体例

「賢哉、回也。」は疑問詞がなく形容詞「賢」を先頭に置いた詠嘆、「豈不レ痛哉。」は「豈」があるので反語(詠嘆を伴う)と判定する。

パターン7: 句法どうしが掛け算になった文の分解手順

こんな問題で使う

1つの文の中に、否定・疑問・使役・受身などの句法が2つ以上組み合わさっている、複雑な文を読む問題。

解法の手順

  1. 文の中にある句法の要素(否定語・疑問詞・使役動詞・受身の印など)を、1つずつすべて洗い出す。
  2. 返り点の構造(レ点・一二点・上下点)を確認し、内側から外側へ、処理する順番を決める。
  3. 内側の句法から順に日本語に直し、最後にそれらを組み合わせて全体の書き下し文・現代語訳を完成させる。
  4. 「否定+疑問=反語」「否定+仮定=ずんば」のように、句法どうしが組み合わさると特別な意味になるパターンがないかを、最後にもう一度確認する。

具体例

「不レ可レ不レ慎。」(慎まざるべからず=慎まないわけにはいかない、必ず慎重にせよ)のような文では、レ点が3つ連続しています。こういうときは、いちばん下にある字(慎)から順に、1字ずつ返っていけば、複雑に見える文でも機械的に読む順番を決められます。