漢字・語彙・文法 / 現代文法の基礎
品詞分類の基礎
要点整理
日本語の文法(学校文法)では、単語を意味・はたらき・活用のしかたによって10種類の品詞に分類します。品詞分類の問題は、一見すると暗記が必要な分野に見えますが、実際には「自立語か付属語か」「活用するかしないか」「言い切りの形はどうなるか」という3段階の質問に順番に答えていくだけで、機械的に判定することができます。
文節・自立語・付属語
品詞の話をする前提として、まず「文節」を確認します。文節とは、文を発音上不自然にならない範囲でできるだけ短く区切った単位のことで、「ネ」「サ」などを間に入れて区切れる場所で分けられます。
例:私は/毎朝/公園を/散歩する。(4つの文節)
それぞれの文節は、必ず1つの自立語で始まり、そのあとに0個以上の付属語が続く、という構造になっています。
「公園を」→ 自立語「公園」(名詞) + 付属語「を」(助詞) 「散歩する」→ 自立語「散歩する」の一部...ではなく、実はこれは「散歩」(名詞)+「する」(動詞)のように、さらに細かく単語に分けられます。
つまり、自立語は「それだけで意味がわかり、単独で文節を作れる」単語、付属語は「それだけでは文節になれず、必ず自立語にくっついて使われる」単語です。
10品詞分類のフローチャート
自立語・付属語の区別と、活用の有無、言い切りの形を順番に確認していくと、すべての単語を次のように10種類に分類できます。
- 自立語(単独で文節になれる)
- 活用する(語形が変化する)→ この3つをまとめて「用言」と呼ぶ
- 言い切りの形がウ段の音で終わる(書く・読む・来る・する など)→ 動詞
- 言い切りの形が「い」で終わる(高い・美しい など)→ 形容詞
- 言い切りの形が「だ・です」で終わる(静かだ・きれいです など)→ 形容動詞
- 活用しない(語形が変化しない)
- 主語になれる(「が」「は」を付けられる)→ 名詞(体言)
- 主に用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する → 副詞
- 主に体言(名詞)だけを修飾する → 連体詞
- 単独で接続語になり、前後の文や語句をつなぐ → 接続詞
- 単独で独立語になり、感動・呼びかけ・応答・あいさつを表す → 感動詞
- 活用する(語形が変化する)→ この3つをまとめて「用言」と呼ぶ
- 付属語(単独では文節になれない)
- 活用する → 助動詞
- 活用しない → 助詞
このように、自立語は8種類(動詞・形容詞・形容動詞・名詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞)、付属語は2種類(助動詞・助詞)の、合計10品詞に分かれます。
それぞれの品詞の特徴と具体例
| 品詞 | 自立語/付属語 | 活用 | はたらき・特徴 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| 動詞 | 自立語 | あり(ウ段で言い切る) | 単独で述語になり、動作・作用・存在を表す | 書く、走る、食べる、来る、ある |
| 形容詞 | 自立語 | あり(「い」で言い切る) | 単独で述語になり、性質・状態を表す | 高い、美しい、楽しい |
| 形容動詞 | 自立語 | あり(「だ・です」で言い切る) | 単独で述語になり、性質・状態を表す | 静かだ、きれいです、元気だ |
| 名詞(体言) | 自立語 | なし | 主語になれる。人・物・事柄・数などを表す | 学校、東京、これ、三つ、こと |
| 副詞 | 自立語 | なし | 主に用言を修飾し、程度・状態などを詳しくする | とても、ゆっくり、決して |
| 連体詞 | 自立語 | なし | 体言(名詞)だけを修飾する | ある(日)、この、大きな、いわゆる |
| 接続詞 | 自立語 | なし | 文や語句をつなぎ、前後の関係を示す | しかし、そして、なぜなら |
| 感動詞 | 自立語 | なし | 感動・呼びかけ・応答・あいさつを表し、独立語になる | ああ、おい、はい、こんにちは |
| 助動詞 | 付属語 | あり | 自立語(主に用言)に付いて、意味を添える | れる、られる、ない、た、う、そうだ |
| 助詞 | 付属語 | なし | 語と語の関係を示したり、意味を添えたりする | が、を、は、から、ね、よ |
見分けにくい語に注意
名詞・副詞・連体詞の一部には、形がよく似ていて紛らわしいものがあります。
- 「大きな」「小さな」「おかしな」「いわゆる」「ある(日)」「あらゆる」「とんだ」は、いずれも体言だけを修飾し、活用しない連体詞です。「大きな」は「大きい」(形容詞)や「大きだ」(形容動詞のように見えるが、この形は存在しない)と混同しやすいので注意しましょう。
- 動詞「ある」(存在する、という意味を持ち活用する)と、連体詞「ある」(「ある日」のように後ろの名詞を修飾するだけで活用しない)は、同じ「ある」という形でも別の品詞です。活用するかどうかで見分けます。
- 副詞は主に用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾しますが、まれに他の副詞や名詞的な語を修飾することもあります。一方、連体詞は必ず体言(名詞)だけを修飾する点で区別できます。
例題
例題1(基本)
問題
次の文中の傍線部①〜③の品詞名を、それぞれ答えよ。
「①とても静かな部屋で、②しかし私は③眠れなかった。」
解答・解説を見る
フローチャートに従って、それぞれの語を判定します。
①「とても」は、活用せず、後ろの用言(形容動詞「静かな」)を修飾しているので副詞です。
②「しかし」は、活用せず、前後の内容(静かな部屋であること・眠れなかったこと)をつないでいるので接続詞です。
③「眠れなかった」のうち、傍線部が動詞「眠れる」を指しているとすると、言い切りの形が「眠れる」とウ段の音で終わるので動詞です(「なかった」の部分は、助動詞「ない」の活用形+助動詞「た」で、傍線部には含めません)。
答え:①副詞 ②接続詞 ③動詞
例題2(標準)
問題
次の(1)・(2)の「ある」は、それぞれ品詞が異なる。それぞれの品詞名を答え、見分け方を説明せよ。
(1) 机の上に本がある。 (2) ある日、彼から手紙が届いた。
解答・解説を見る
同じ「ある」という形でも、活用するかどうかを確認すると、品詞が異なることがわかります。
(1)の「ある」は、「机の上に本があれば」(仮定形)、「机の上に本があった」(連用形+た)のように、あとに続く言葉に応じて語尾が変化(活用)します。「存在する」という意味を持つ動詞です。
(2)の「ある日」の「ある」は、後ろの体言「日」を修飾しているだけで、これ自体を活用させることはできません(「あらない日」「あった日」のようには変化しない)。これは連体詞です。
答え:(1)動詞 (2)連体詞。活用するかどうか(活用形に変化させられるかどうか)で見分ける。
例題3(応用)
問題
次の文を文節に区切り、それぞれの文節に含まれる自立語の品詞名をすべて答えよ。
「大きな夢を、あきらめずに追い続けよう。」
解答・解説を見る
まず、文節の切れ目に「ネ」を入れられる場所で区切ります。
「大きな-ネ/夢を-ネ/あきらめずに-ネ/追い続けよう」
次に、各文節の先頭にある自立語を取り出し、フローチャートで品詞を判定します。
「大きな」→ 体言「夢」だけを修飾し、活用しない(「大きだ」という形は存在しない)ので連体詞。
「夢を」→ 自立語部分は「夢」。活用せず、主語や目的語になれる(体言)ので名詞。
「あきらめずに」→ 自立語部分は「あきらめ」で、もとの形は動詞「あきらめる」。言い切りの形がウ段の「あきらめる」で終わるので動詞(「ず」「に」は付属語の助動詞・助詞)。
「追い続けよう」→ 自立語部分は「追い続け」で、もとの形は動詞「追い続ける」。言い切りの形がウ段の「追い続ける」で終わるので動詞(「よう」は意志を表す助動詞)。
答え:大きな→連体詞、夢→名詞、あきらめ(あきらめる)→動詞、追い続け(追い続ける)→動詞
確認問題
問題
次の文中の傍線部①・②の品詞名を、それぞれ答えよ。
「①いわゆる名作と呼ばれる作品を読んでも、②あまり感動しなかった。」
答え
①連体詞(活用せず、体言「名作」を修飾しているため) ②副詞(活用せず、後ろの用言「感動し(なかった)」を修飾しているため)