現代文 / 設問対応の技術
空欄補充問題の解き方
要点整理
空欄補充問題の3つの種類
空欄補充問題は、空欄に何が入るかによって、大きく3つの種類に分けられます。
- 接続語の空欄:「しかし」「つまり」など、前後の論理関係を示す語を選ぶ(「指示語・接続語の把握」で学んだ手順が直接使えます)。
- 語句・フレーズの空欄:文脈に合う名詞・形容詞・表現などを選ぶ。
- 一文まるごとの空欄(脱文挿入問題):抜き出された1つの文を、本文中のどこに戻すべきかを答える。
いずれの場合も、根底にある考え方は同じです。空欄の前後の文脈から、そこに入るべき内容の条件を先に絞り込んでから、選択肢を検討するという順序を徹底しましょう。
語句・フレーズの空欄を解く手順
- 空欄の直前・直後の文を丁寧に読み、そこで何が話題になっているかを確認する。
- 空欄に入る内容について、自分の言葉でおおまかな見当をつけてみる(「たぶん、こういう意味の言葉が入るはずだ」という仮説を立てる)。
- 文章に対比構造がある場合、空欄がA(旧来の考え)側とB(筆者の主張)側のどちらの文脈に置かれているかを判定する。
- 立てた仮説や、対比の判定結果と食い違う選択肢を先に除外する。
- 残った選択肢を実際に空欄へ代入して読み、前後の文とのつながり(呼応表現・文体を含む)に矛盾がないかを最終確認する。
対比構造を利用した絞り込み
「対比構造を読み取る」で学んだ通り、評論文にはA(否定される旧来の考え)とB(筆者が主張する新しい考え)の対比が頻出します。空欄がA側の文脈にあるなら、Aの立場に沿う内容の選択肢を選ぶ必要があり、B側の文脈にあるならBの立場に沿う内容を選ぶ必要があります。この判定を怠ると、内容としてはもっともらしいのに、文脈上は正反対の陣営に属する選択肢を選んでしまうという、典型的な誤りにつながります。
呼応表現に注意する
空欄の前後に「〜のみならず、( )も」「〜というより、むしろ( )」のような、決まった組み合わせで使われる呼応表現がある場合、その形に合う選択肢を選ぶ必要があります。内容が正しそうに見えても、呼応表現の形と合わない選択肢は、文法的に不適切な誤答であることがよくあります。
脱文挿入問題の考え方
脱文挿入問題では、抜き出された一文の中の指示語・接続語・キーワードが、最大の手がかりになります。
- 抜き出された一文の中に指示語があれば、その指示語が指せる内容が、挿入位置の直前にあるかを確認する。
- 抜き出された一文の冒頭に接続語があれば、その接続語の論理関係(逆接・並列など)に合う文脈が、挿入位置の直前にあるかを確認する。
- 抜き出された一文の中のキーワードが、挿入位置の前後の文脈と自然につながるかを確認する。
- 候補となる挿入位置(ア・イ・ウ・エ)それぞれに実際に一文を入れてみて、前後の文のつながりが最も違和感のない箇所を選ぶ。
例題
例題1(基本)
問題
次の文章の空欄に入る語として最も適切なものを、後の選択肢から選べ。
多くの人は、専門家の意見を( )に受け止めがちである。しかし、専門家の意見も、あくまで1つの見方にすぎず、絶対的な正解ではないことを忘れてはならない。
① 参考程度 ② 絶対的なもの ③ 疑わしいもの ④ 場当たり的なもの
解答・解説を見る
空欄の直後に「しかし」があり、その後で「専門家の意見も、あくまで1つの見方にすぎず、絶対的な正解ではない」と述べられています。逆接でつながっているので、空欄には、この「絶対的な正解ではない」という内容と反対の意味を持つ表現が入るはずだと予測できます。
選択肢の中で、「絶対的な正解ではない」の反対に当たるのは②「絶対的なもの」です。①「参考程度」ではむしろ後半の内容と同じ方向を向いてしまい、逆接のつながりとして不自然です。
答え:②
例題2(標準)
問題
次の文章の空欄に入る内容として最も適切なものを、後の選択肢から選べ。
これまで、成功とは目標を達成することだと考えられてきた。しかし、目標を達成できなかった人の努力の過程に、まったく価値がないと言えるだろうか。私は、( )と考える。
① 目標を達成できなければ、その努力は無意味である ② 目標を達成できるかどうかがすべてであり、過程は問題にならない ③ 目標を達成できたかどうかにかかわらず、そこに至る過程にも価値がある ④ 目標を最初から低く設定しておくべきである
解答・解説を見る
この文章はA(旧来の考え:成功とは目標達成である)とB(筆者の主張)の対比構造になっています。空欄は「私は、( )と考える」という、筆者自身の主張を述べる文脈にあるため、B側の内容が入るはずです。
①と②はどちらもA側(目標達成がすべて)の内容を繰り返しているだけなので、除外できます。④は本文のどこにも根拠がない、論点のずれた内容です。③は、直前の「目標を達成できなかった人の努力の過程に、まったく価値がないと言えるだろうか」という問いかけに対する、筆者自身の答えとして自然につながります。
答え:③
例題3(応用)
問題
次の文章から抜き出した一文「だが、それは記憶を失うことと同じ意味ではない。」は、ア〜エのどこに戻すのが最も適切か、答えよ。
(ア)年齢を重ねると、以前に比べて物事を思い出すのに時間がかかるようになったと感じる人は多い。(イ)名前や単語が、喉まで出かかっているのにすぐに出てこない、という経験をしたことがある人も少なくないだろう。(ウ)実際には、思い出すまでに時間がかかっているだけで、情報そのものは頭の中に残っていることがほとんどである。(エ)むしろ、長年の経験によって蓄積された知識の量が増えたために、目的の情報を探し出すまでの検索に時間がかかるようになった、と考える方が実態に近い。
解答・解説を見る
抜き出された一文は「だが、それは記憶を失うことと同じ意味ではない。」という、逆接の接続語「だが」で始まる一文です。この文の指示語「それ」が指す内容は、「思い出すのに時間がかかること」のような、前の文脈の内容だと考えられます。
また、この一文は「記憶を失うことと同じ意味ではない」と、記憶を失うことを否定しています。したがって、この一文の直前には「思い出すのに時間がかかる=記憶を失いつつある」と誤解されそうな内容が、直後には「実際には記憶は失われていない」という説明が続くはずです。
(イ)の直後を見ると、「名前や単語が、喉まで出かかっているのにすぐに出てこない」という、まさに「記憶が失われかけている」ように見える経験が述べられています。そして(ウ)の内容は「情報そのものは頭の中に残っている」という、記憶が失われていないことの説明です。これは、抜き出した一文が示そうとしている内容とまさに一致します。
したがって、抜き出した一文は(イ)と(ウ)の間、すなわちイの直後に入れるのが最も自然です。
答え:イの直後(イと ウの間)
確認問題
問題
次の文章の空欄に入る内容として最も適切なものを、後の選択肢から選べ。
規則を守ることは大切だが、規則を守ってさえいれば十分だという考え方には疑問がある。規則は、何らかの目的を実現するために作られた手段にすぎない。だとすれば、私たちが本当に大切にすべきなのは、( )ということではないだろうか。
① 規則の条文を一字一句正確に暗記すること ② 規則を作った本来の目的を理解し、それを実現しようとする姿勢 ③ 規則を破っても罰を受けなければ問題はないという考え方 ④ 規則の数をできるだけ減らすこと
答え
②(規則は目的を実現するための手段だという主張に沿う内容のため)