漢字・語彙・文法 / 現代文法の基礎
助動詞・助詞(口語文法)
要点整理
助動詞と助詞は、どちらも単独では文節を作れない付属語ですが、活用するかどうかで区別されます。助動詞は活用し、助詞は活用しません。ここでは、特に入試で意味の識別が問われやすい代表的な口語助動詞と、助詞の4分類を整理します。
「れる・られる」の4つの意味の識別
「れる・られる」は、受け身・可能・自発・尊敬という4つの異なる意味を持つ、識別問題で最も出題頻度が高い助動詞です。同じ「れる」という形でも、文脈によって意味が変わるため、次の判定方法を使って見分けます。
| 意味 | 判定のしかた | 例 |
|---|---|---|
| 受け身 | 直前に「(人)に」を補うことができ、他者から動作を受ける内容になる | 先生に褒められる。(先生が褒める、という動作を私が受ける) |
| 可能 | 「~することができる」に言い換えられる | 100メートルなら泳げる(泳ぐことができる)。 |
| 自発 | 「思う・感じる・悔やむ・案じる・しのぶ」など、心の動きを表す一部の動詞に付き、動作主の意図とは関係なく自然にそうなる、という意味になる | 故郷のことが思い出される。(自然と思い出す気持ちになる) |
| 尊敬 | 「お(ご)~になる」に言い換えられ、動作主が敬うべき人物である | 先生が話される。(お話しになる) |
見分け方のコツ:まず「(人)に」を補って不自然でなければ受け身、「~できる」に言い換えて意味が通れば可能、を最初に確認します。どちらにも当てはまらず、動詞が「思う」系の限られた語である場合は自発、文の主語が目上の人物であれば尊敬、と絞り込んでいくとよいでしょう。
「せる・させる」(使役)
「せる・させる」は、使役(他人に何かをさせる)の意味を表します。「(人)に~させる」の形で、動作を行わせる相手を示せるのが特徴です。
子どもに野菜を食べさせる。(子どもが食べる、という動作を、私がさせる)
「ない」の識別(助動詞・補助形容詞・形容詞の一部)
「ない」という形には、助動詞(打消)、補助形容詞、形容詞の一部という3つの可能性があり、混同しやすいので注意が必要です。
- 動詞の未然形に直接付き、「ぬ」に置き換えられる → 助動詞(打消) 例:読まない→読まぬ(置き換え可能)
- 形容詞・形容動詞の連用形(「
く」「で」)に付いて打消の意味を添えるが、「ぬ」には置き換えられない → 補助形容詞 例:美しくない→美しくぬ(×、置き換え不可) - 「ない」の前で意味を区切れず、「~ない」全体で1つの独立した形容詞になっている(打消の意味を持たない) → 形容詞の一部 例:切ない、もったいない、あどけない(「切」だけ、「もったいない」を「もったい」+「ない」に分けても打消の意味にならない)
「そうだ」の識別(様態・伝聞)
「そうだ」には、見た目からの推測を表す様態と、人から聞いた話を伝える伝聞の、まったく異なる2つの意味があります。この2つは、**直前にどんな形が来ているか(接続のしかた)**で見分けます。
| 意味 | 接続 | 意味の内容 | 例 |
|---|---|---|---|
| 様態 | 動詞の連用形、形容詞・形容動詞の語幹 | 見た目・様子から「~しそうだ」と推測する | 雨が降りそうだ。(連用形+そうだ) おいしそうだ。(語幹+そうだ) |
| 伝聞 | 用言の終止形 | 人から聞いた内容を「~だそうだ」と伝える | 雨が降るそうだ。(終止形+そうだ) おいしいそうだ。(終止形+そうだ) |
「降りそうだ」(様態:雲行きから推測)と「降るそうだ」(伝聞:天気予報などで聞いた)のように、直前の活用形が連用形か終止形かだけで意味がガラリと変わる点が、識別問題として頻出です。
「ようだ」の識別(推定・比況・例示)
「ようだ」には、主に3つの意味があります。
| 意味 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 推定 | 何らかの根拠(見た目・状況)に基づいて推し量る | 地面が濡れている。雨が降ったようだ。 |
| 比況(たとえ) | 「まるで~」を伴って、他のものにたとえる | まるで子どものようにはしゃいでいる。 |
| 例示 | 「~など」のように、具体例を挙げる | 富士山のような山に登ってみたい。 |
「らしい」の識別(助動詞と接尾語)
「らしい」にも、推定を表す助動詞と、名詞に付いて1つの形容詞を作る接尾語の2種類があります。
- 助動詞(推定):用言の終止形や体言に付き、根拠のある推量を表す。「明日は雨らしい。」
- 接尾語:名詞に付いて「いかにも~にふさわしい」という意味の、1語の形容詞を作る。「男らしい態度」「彼らしい選択」(この「男らしい」全体で1つの形容詞)
「う・よう」の識別(推量・意志・勧誘)
| 意味 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 推量 | ~だろう、と推し量る | 明日は晴れよう。(やや文語的な言い方) |
| 意志 | 自分の意志で「~しよう」と決める | 私が行こう。 |
| 勧誘 | 相手を誘って「一緒に~しよう」と言う | 一緒に行こう。 |
主語が「私(一人称)」で単独の行動なら意志、「(一緒に)~しよう」と相手を誘う文脈なら勧誘、と文脈から判断します。
「た」の識別(過去・完了・存続・想起)
| 意味 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 過去 | すでに終わった出来事を表す | 昨日、映画を見た。 |
| 完了 | ちょうど動作が完了した直後であることを表す | ちょうど今、着いたところだ。 |
| 存続 | ある状態が今も続いていることを表す | 壁にかかった絵。(今も壁にかかっている) |
| 想起・確認 | 忘れていたことを思い出す、確認する | あ、今日は会議だった。 |
助詞の4分類
助詞は、はたらきの違いによって、次の4種類に分類されます。
| 種類 | はたらき | 代表的な助詞 |
|---|---|---|
| 格助詞 | 主に体言に付いて、他の語との関係(主語・目的語・場所など)を示す | が・を・に・で・と・へ・から・より・の |
| 接続助詞 | 用言などに付いて、前後の文や語句をつなぐ(順接・逆接・並立など) | ば・と・ても・けれど(も)・から・ので・のに・が・し |
| 副助詞 | いろいろな語に付いて、意味を添える(限定・強調・程度など) | は・も・こそ・さえ・でも・まで・ばかり・だけ・しか・くらい |
| 終助詞 | 文末に付いて、疑問・感動・禁止・念押しなどの気持ちを添える | か・な・なあ・ね・よ・ぞ・わ |
紛らわしい助詞の識別
- 「が」:主語を示す格助詞(「私が行く」)のほか、逆接の接続助詞(「頑張ったが、失敗した」)としても使われる。あとに文が続き「~だけれども」と言い換えられれば接続助詞。
- 「から」:出発点・原料を示す格助詞(「東京から来た」)のほか、理由を示す接続助詞(「疲れたから、休もう」)としても使われる。「~なので」に言い換えられれば接続助詞。
- 「ので」「のに」:どちらも常に接続助詞で、それぞれ理由(順接)・逆接を表す。「ので」は「
だから」、「のに」は「だけれど」に言い換えられる。 - 「の」:主語を示す格助詞(「私の描いた絵」=「私が描いた絵」に言い換え可能)、連体修飾を示す格助詞(「学校の図書館」)、体言の代わりをする準体言の用法(「赤いのが好きだ」=「赤いもの」)など、複数の用法がある。
例題
例題1(基本)
問題
次の傍線部「れる・られる」の意味を、受け身・可能・自発・尊敬の中からそれぞれ答えよ。
(1) 先生が新しい本を出版される。 (2) この靴なら、まだ十分に履かれる。 (3) 友人に日記を読まれる。 (4) 昔の失敗が、ふと思い出される。
解答・解説を見る
判定方法に沿って、それぞれ確認します。
(1)「先生が」という、敬うべき人物が主語で、「お出しになる」に言い換えられるので尊敬です。
(2)「履くことができる」に言い換えられるので可能です。
(3)「友人に」を補うと「友人に読むという動作をされた」と、他者から動作を受ける内容になるので受け身です。
(4)「思い出す」という心の動きを表す動詞に付いており、自分の意図とは関係なく自然にそうなっているので自発です。
答え:(1)尊敬 (2)可能 (3)受け身 (4)自発
例題2(標準)
問題
次の傍線部の「そうだ」の意味を、様態・伝聞のどちらかで答えよ。また、そう判断した根拠(直前の活用形)を説明せよ。
(1) 天気予報によると、明日は雨が降るそうだ。 (2) 空が曇ってきた。今にも雨が降りそうだ。
解答・解説を見る
「そうだ」の識別は、直前に来ている活用形に注目します。
(1)「降るそうだ」の「降る」は終止形です。用言の終止形に「そうだ」が続く場合は伝聞の意味になります。また、「天気予報によると」という、情報の出どころを示す言葉があることからも、人から(何かから)聞いた内容だとわかります。
(2)「降りそうだ」の「降り」は連用形です。用言の連用形に「そうだ」が続く場合は様態の意味になります。「空が曇ってきた」という、見た目の根拠から推測している内容とも一致します。
答え:(1)伝聞(終止形「降る」に接続しているため) (2)様態(連用形「降り」に接続しているため)
例題3(応用)
問題
次の傍線部の「ない」を、助動詞・補助形容詞・形容詞の一部のいずれかに分類し、その判定根拠を説明せよ。
(1) 彼は今日、学校に来ない。 (2) この問題は、あまり難しくない。 (3) 彼女の対応は、とても危ないものだった。
解答・解説を見る
「ない」の識別は、直前の語の種類と、「ぬ」への置き換え可否で判定します。
(1)「来ない」は、動詞「来る」の未然形「来(こ)」に直接付いています。「来ぬ」と言い換えても意味が通じるので、助動詞(打消)です。
(2)「難しくない」は、形容詞「難しい」の連用形「難しく」に付いています。「難しくぬ」とは言えず、「ぬ」には置き換えられません。もとの形容詞に打消の意味を添える補助形容詞です。
(3)「危ない」は、そもそも「危」と「ない」に分けても意味が通じず(「危」だけでは単語にならない)、「危ない」全体で「危険だ」という意味を持つ、もとから1つの形容詞の一部です。打消の意味(「危」の状態でない)は持っていません。
答え:(1)助動詞(未然形に接続し「ぬ」に置き換え可能) (2)補助形容詞(形容詞の連用形に接続するが「ぬ」に置き換え不可) (3)形容詞の一部(「ない」を除くと単語として成立せず、打消の意味を持たない)
確認問題
問題
次の傍線部の助動詞「ようだ」の意味を、推定・比況・例示のいずれかで答えよ。
「彼はまるで台風のような勢いで部屋に飛び込んできた。」
答え
比況(「まるで~のように」の形で、他のものにたとえているため)