現代文 / 現代文の読み方の基本

指示語・接続語の把握

要点整理

指示語が指す内容の探し方

評論文には「これ」「それ」「そのような」「こうした」といった指示語が頻繁に登場します。指示語の指す内容を正確に取り違えると、文章全体の意味を誤って理解してしまうため、指示語の処理は現代文読解の最も基本的な技術の1つです。

指示語の指す内容を特定する手順は、次の通りです。

  1. 指示語よりの部分に、指示内容の候補を探す(指示語が後の内容を指すことは、原則として稀です)。
  2. 候補となる語句・一文を、指示語の位置にそのまま代入してみる。
  3. 代入した結果、文の意味が自然に通るかどうかを確認する。通らなければ、指示範囲を広げたり狭めたりして候補を調整する。

指示語が指す範囲は、単語1つのこともあれば、一文全体、時には前の段落全体に及ぶこともあります。「これ」を「これ=直前の1単語」と決めつけず、代入して意味が通る、必要十分な範囲を見極めることが重要です。

接続語の6つの機能

接続語は、前後の文・段落がどのような論理関係で結ばれているかを示す、いわば文章の「道路標識」です。代表的な6つの機能を整理しておきましょう。

機能 代表的な接続語 はたらき
順接 だから・したがって・そのため 前が原因・理由、後が結果・結論
逆接 しかし・だが・ところが・にもかかわらず 前とは反対・食い違う内容が続く
並列・添加 また・そして・さらに・そのうえ 前と同じ種類の内容を付け加える
対比 一方・それに対して・逆に 2つの事柄を並べて比較する
言い換え・要約 つまり・すなわち・要するに 前の内容を別の言葉でまとめ直す
例示 たとえば・一例を挙げれば 前で述べた抽象的な内容を具体化する

接続語から次の展開を予測しながら読む

接続語の最大の効用は、それが現れた時点で、次に続く内容をある程度予測できることです。たとえば「しかし」が出てきたら、それまで述べられてきた内容とは反対の方向へ話が転換すると予測できます。「つまり」が出てきたら、直前までの内容が、これから短く言い換えられると予測できます。

特に評論文では、逆接の直後にこそ筆者の言いたいことが置かれる傾向が強くあります。一般論や予想される反論を先に述べ、「しかし」でそれをひっくり返して自分の主張を述べる、という型は評論文で非常によく使われるパターンです。逆接の接続語を見つけたら、その直後の一文には特に注意を払いましょう。

空所になっている接続語を推測する

接続語そのものが空欄になっている問題では、空欄の前後の文の関係を確認します。前後が反対の内容なら逆接、前後が同じ種類の内容の並びなら並列、前がまとめの一文で後が具体化なら例示、というように、内容の関係から逆算して適切な接続語を選びます。

例題

例題1(基本)

問題

次の文中の「それ」が指す内容を、文中の言葉を用いて答えよ。

近年、多くの職場でリモートワークが導入されている。通勤にかかる時間や労力を削減できるという点で、それは働く人にとって大きな利点だと言える。

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「それ」より前にある候補を探します。直前の文の主語は「リモートワーク」ですが、「それは働く人にとって大きな利点だと言える」という一文に、そのまま「リモートワーク」を代入してみると、「リモートワークは働く人にとって大きな利点だと言える」となり、少し不自然です(利点があるのはリモートワーク自体ではなく、リモートワークによって得られる何かのはずです)。

そこで候補を広げ、「通勤にかかる時間や労力を削減できるという点」を代入してみると、「通勤にかかる時間や労力を削減できるという点は、働く人にとって大きな利点だと言える」となり、意味が自然に通ります。

答え:通勤にかかる時間や労力を削減できるという点

例題2(標準)

問題

次の文章の空欄A・Bに入る接続語として最も適切なものを、後の語群からそれぞれ選べ。

読書は、想像力を養ううえで役立つとよく言われる。( A )、読書量が多い人ほど、必ず豊かな想像力を持っているとは限らない。想像力を育てるのは、読んだ内容について自分の頭で考えたり、疑問を持ったりする過程であって、文字を目で追う行為そのものではないからだ。( B )、内容を鵜呑みにせず、自分なりに問いを立てながら読む姿勢こそが、読書を想像力の育成に結びつける鍵だと言える。

【語群】しかし/つまり/たとえば

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空欄Aの前は「読書は想像力を養ううえで役立つ」という一般に言われている内容、空欄Aの後は「読書量が多くても、必ず豊かな想像力を持っているとは限らない」という、前の内容に疑問を投げかける内容です。前後が反対の方向を向いているので、Aには逆接のしかしが入ります。

空欄Bの前では「想像力を育てるのは、自分の頭で考えたり疑問を持ったりする過程だ」という理由が述べられ、Bの後では「自分なりに問いを立てながら読む姿勢が鍵だ」と、それを短くまとめ直しています。前の内容を別の言葉で言い換えているので、Bには言い換え・要約のつまりが入ります。

答え:A しかし B つまり

例題3(応用)

問題

次の文中の「そうした事態」が指す内容を、25字以内でまとめよ。

会議では、発言力の強い一部の人の意見が、あたかも全員の総意であるかのように扱われてしまうことがある。他の参加者が内心では違う意見を持っていても、場の空気を乱すことを恐れて口をつぐんでしまうからだ。そうした事態を避けるためには、発言の順番を決めたり、匿名で意見を出せる仕組みを設けたりする工夫が有効である。

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「そうした事態」の「そうした」は「そのような」という意味の連体詞で、指示語の一種です。直前の内容全体――「発言力の強い一部の人の意見が、全員の総意であるかのように扱われてしまうこと」と、その理由である「他の参加者が異論を持っていても口をつぐんでしまうこと」――が指示範囲の候補になります。

ただし、後半の理由部分(「〜からだ」の文)は、あくまで前半の事態が生じる原因の説明であり、「事態」そのものの内容ではありません。「事態」という言葉が指すのは、あくまで「一部の人の意見が全員の総意として扱われてしまうこと」という状況そのものです。この部分を25字程度に圧縮してまとめます。

答え:一部の人の意見が全員の総意とされること。(20字)

確認問題

問題

次の文中の空欄に入る接続語として最も適切なものを、後の語群から選べ。

多くの動物は、群れの中で助け合って生きている。(  )、人間は見知らぬ他人同士でも、助け合いのルールや制度を作り上げてきた点で際立っている。

【語群】したがって/それに対して/たとえば

答え

それに対して(前が動物一般の話、後が人間の特徴という対比の関係のため)