漢字・語彙・文法 / 語彙力
四字熟語
要点整理
四字熟語は、漢字2字の熟語を2つ組み合わせてできているものが大部分です。たとえば「一石二鳥」は「一石」(1つの石)と「二鳥」(2羽の鳥)という2つの熟語が合体した形で、「1つの行為で2つの利益を得ること」を表します。このように、4字を2字+2字に分けて、それぞれの意味を確認してから全体の意味を考えるのが、四字熟語を覚えるときの基本的なコツです。
一方で、「五十歩百歩」「四面楚歌」のように、中国の古典に由来する故事(歴史上のエピソード)がもとになっていて、4字全体でひとまとまりの物語的な意味を持つものもあります。これらは漢字だけから意味を推測しにくいので、由来となる故事とセットで覚えると忘れにくくなります。
入試や定期テストでは、①読み方(音読み中心ですが、送り仮名や訓読みが混ざるものもあります)、②意味、③空欄補充(1字だけ空欄にして埋めさせる)、④短文中での正しい使い方を選ぶ問題、の4パターンで出題されることが多いです。以下、頻出のものをカテゴリ別に整理します。
数字を含む四字熟語
数字が入る四字熟語は、数字の大小や組み合わせに意味が込められていることが多く、比較的覚えやすいグループです。
| 四字熟語 | 読み | 意味 | 用例 |
|---|---|---|---|
| 一石二鳥 | いっせきにちょう | 1つの行為で2つの利益を得ること | 「散歩がてら買い物も済ませるとは一石二鳥だ。」 |
| 一挙両得 | いっきょりょうとく | 1つの行動で2つの利益を得ること(一石二鳥とほぼ同義) | 「勉強しながら英語力もつくとは一挙両得だね。」 |
| 二束三文 | にそくさんもん | 値段が非常に安いこと | 「不要品を二束三文で売り払った。」 |
| 三寒四温 | さんかんしおん | 冬から春にかけて、寒い日と暖かい日が交互に来ること | 「三寒四温で、少しずつ春が近づいてきた。」 |
| 四苦八苦 | しくはっく | 非常に苦労すること | 「難問に四苦八苦しながら取り組んだ。」 |
| 五里霧中 | ごりむちゅう | 方針や見通しが立たず、判断に迷うこと | 「対策が見えず、五里霧中の状態が続いている。」 |
| 七転八倒 | しちてんばっとう | 苦痛のあまり、転げ回ってもがき苦しむこと | 「腹痛で七転八倒するほど苦しんだ。」 |
| 八方美人 | はっぽうびじん | 誰にでも良い顔をして、要領よく振る舞う人(多くは非難の意味で使う) | 「彼は八方美人で、誰の意見にも合わせてしまう。」 |
| 十人十色 | じゅうにんといろ | 人によって考えや好みがそれぞれ違うこと | 「好みは十人十色だから、一概には言えない。」 |
| 千差万別 | せんさばんべつ | 物事に多くの種類・違いがあること | 「解決方法は千差万別で、一つに絞れない。」 |
| 百発百中 | ひゃっぱつひゃくちゅう | 予想や計画がすべて当たること | 「彼の予想は百発百中だ。」 |
| 一朝一夕 | いっちょういっせき | わずかな期間。(多くは「~ではない」と打ち消しを伴う) | 「語学力は一朝一夕には身につかない。」 |
対義語からなる四字熟語
反対の意味を持つ漢字(または熟語)を組み合わせて、対比や幅の広さを表すグループです。
| 四字熟語 | 読み | 意味 | 用例 |
|---|---|---|---|
| 大同小異 | だいどうしょうい | 細かい点は違うが、全体としてはほぼ同じであること | 「どの案も大同小異で、決め手に欠ける。」 |
| 東奔西走 | とうほんせいそう | あちこち忙しく走り回ること | 「資金集めのため、東奔西走する毎日だ。」 |
| 半信半疑 | はんしんはんぎ | 半分は信じ、半分は疑わしく思うこと | 「うわさを半信半疑で聞いていた。」 |
| 一長一短 | いっちょういったん | 長所もあれば短所もあること | 「どちらの案にも一長一短があり、決めがたい。」 |
| 順風満帆 | じゅんぷうまんぱん | 物事が順調に進むこと | 「新規事業は順風満帆な滑り出しを見せた。」 |
| 表裏一体 | ひょうりいったい | 2つのものが切り離せない関係にあること | 「権利と義務は表裏一体の関係にある。」 |
| 空前絶後 | くうぜんぜつご | 過去にも例がなく、これから先も起こりそうにないほど珍しいこと | 「空前絶後の大記録を打ち立てた。」 |
状態・ようすを表す四字熟語
物事や場の状態、雰囲気を表すグループです。
| 四字熟語 | 読み | 意味 | 用例 |
|---|---|---|---|
| 玉石混交 | ぎょくせきこんこう | すぐれたものと劣ったものが入り混じっていること | 「インターネットの情報は玉石混交だ。」 |
| 危機一髪 | ききいっぱつ | ほんのわずかな差で危険な事態になりそうな、危ういところ | 「危機一髪のところで事故を回避した。」 |
| 単刀直入 | たんとうちょくにゅう | 前置きなしに、いきなり本題に入ること | 「単刀直入に用件を伝える。」 |
| 傍若無人 | ぼうじゃくぶじん | 人前をはばからず、勝手気ままにふるまうこと | 「彼の傍若無人な態度に周囲があきれた。」 |
| 我田引水 | がでんいんすい | 自分に都合のよいように、言ったり行動したりすること | 「我田引水な理屈で自分を正当化する。」 |
| 換骨奪胎 | かんこつだったい | 先人の作品の発想や形式を生かしつつ、独自のものに作り替えること | 「古典の物語を換骨奪胎して現代劇に仕立てた。」 |
| 起死回生 | きしかいせい | 絶望的な状況を、一気に良い状態へと立て直すこと | 「9回裏の一打で起死回生の逆転勝利をおさめた。」 |
心情・態度を表す四字熟語
人の気持ちや、物事に取り組む姿勢を表すグループです。
| 四字熟語 | 読み | 意味 | 用例 |
|---|---|---|---|
| 一喜一憂 | いっきいちゆう | 状況が変わるたびに、喜んだり心配したりすること | 「模試の結果に一喜一憂しすぎないようにしよう。」 |
| 意気消沈 | いきしょうちん | 元気を失い、しょげてしまうこと | 「試合に負けて意気消沈している。」 |
| 意気投合 | いきとうごう | 互いの気持ちや考えがぴったり合うこと | 「初対面なのに、すっかり意気投合した。」 |
| 意味深長 | いみしんちょう | 言葉や態度に、表面以上の深い意味が含まれていること | 「彼は意味深長な笑みを浮かべた。」 |
| 一心不乱 | いっしんふらん | 他のことに気を取られず、一つのことに集中すること | 「一心不乱に問題を解き続けた。」 |
| 切磋琢磨 | せっさたくま | 互いに励まし合い、競い合って向上すること | 「ライバルと切磋琢磨して成長する。」 |
| 温故知新 | おんこちしん | 昔のことを研究して、そこから新しい知識や見解を見いだすこと | 「温故知新の精神で古典を学ぶ。」 |
故事成語からできた四字熟語
中国古典に由来する物語(故事)がもとになっている四字熟語です。由来を知っておくと、意味を忘れにくくなります。
| 四字熟語 | 読み | 意味 | 由来・覚え方 |
|---|---|---|---|
| 五十歩百歩 | ごじっぽひゃっぽ | 少しの違いはあっても、本質的には大差がないこと | 戦場で50歩逃げた兵が100歩逃げた兵を臆病だと笑った、という『孟子』の話から。「どちらも逃げたことに変わりはない」という点がポイント。 |
| 四面楚歌 | しめんそか | 周囲を敵に囲まれ、味方が誰もいない状況 | 楚の項羽が漢軍に包囲されたとき、四方から故郷・楚の歌が聞こえ、味方までも敵に寝返ったと錯覚し絶望した、という『史記』の故事から。 |
| 呉越同舟 | ごえつどうしゅう | 仲の悪い者同士が、同じ場所や境遇に居合わせること | 敵国どうしの呉と越の人が同じ舟に乗り合わせても、舟が沈みそうになれば協力する、という『孫子』の話から。 |
| 完全無欠 | かんぜんむけつ | 欠点が全くなく、完璧であること | 「完璧」と語源は異なるが意味は近い。「欠けるところが完全に無い」と字義通りに読むと覚えやすい。 |
| 温厚篤実 | おんこうとくじつ | 性格が穏やかで、人情に厚く誠実なこと | 人柄を評する言葉として、推薦文や人物評でよく使われる。 |
| 危急存亡 | ききゅうそんぼう | 生き残れるか滅びるかの、非常に危険な瀬戸際 | 諸葛亮の『出師の表』にある「危急存亡の秋(とき)」という表現で有名。 |
例題
例題1(基本)
問題
次の四字熟語の意味として最も適切なものを、後のア〜エからそれぞれ選べ。
(1) 一石二鳥 (2) 五里霧中 (3) 温故知新
ア.昔のことを研究して新しい知見を得ること イ.方針や見通しが立たず判断に迷うこと ウ.1つの行為で2つの利益を得ること エ.欠点が全くなく完璧であること
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まず、それぞれの四字熟語を2字+2字に分けて考えます。
(1)「一石二鳥」は「一つの石」で「二羽の鳥」を落とす、というイメージから、1つの行動で2つの得をすることを表します。→ウ
(2)「五里霧中」は「五里四方の深い霧の中」にいる、というイメージから、方向(方針)がまったくわからない状態を表します。→イ
(3)「温故知新」は「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」と訓読でき、昔のことを研究することで新しい発見をするという意味です。→ア
なお、エの「欠点が全くなく完璧であること」は、この3つのどれにも当てはまらないので選びません(これは「完全無欠」の意味です)。
答え:(1)ウ (2)イ (3)ア
例題2(標準)
問題
次の文の空欄に入る漢字1字を答え、四字熟語を完成させよ。
(1) どの計画案も大同小□で、決定打に欠ける。 (2) 彼は誰に対しても八方□人にふるまい、信用されていない。 (3) 危機一□のところで、大事故を免れた。
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四字熟語の空欄補充は、まず「その四字熟語がどんな2字+2字の組み合わせでできているか」「対になる漢字は何か」を考えると導きやすくなります。
(1)「大同小異」は「大きくは同じ、小さくは異なる」という対になる構造です。「大同」に対応するのは「小異」なので、空欄には「異」が入ります。
(2)「八方美人」は「八方(あらゆる方向)」の人に対して「美人」(愛想よくふるまう人)のように接する、という意味です。空欄には「美」が入ります。
(3)「危機一髪」は「髪の毛一本ほどのわずかな差で危機に陥りそうな状態」を表します。空欄には「髪」が入ります。
答え:(1)異 (2)美 (3)髪
例題3(応用)
問題
次の傍線部の四字熟語の使い方が正しいものを一つ選び、誤っているものについては、なぜ誤りかを説明せよ。
① 彼の説明は単刀直入で、前置きが長くわかりにくかった。 ② 新製品の評判は玉石混交で、絶賛する声もあれば酷評する声もあった。 ③ 彼女はいつも意気消沈で、周囲を明るく元気づけてくれる。
解答・解説を見る
四字熟語の応用問題では、意味を正確に知っているだけでなく、「文脈と矛盾していないか」を確認する必要があります。
①「単刀直入」は「前置きなしにいきなり本題に入ること」という意味です。ところがこの文では「前置きが長くわかりにくかった」と、単刀直入とは正反対の内容が続いており、矛盾しています。誤用です。
②「玉石混交」は「すぐれたものと劣ったものが入り混じっていること」という意味です。「絶賛する声もあれば酷評する声もあった」は、評価が良いものと悪いものに分かれている状態を表しており、意味がぴったり合います。正しい用法です。
③「意気消沈」は「元気を失い、しょげてしまうこと」という意味です。ところがこの文では「周囲を明るく元気づけてくれる」と、元気な様子が描かれており、正反対の意味になってしまっています。誤用です。
答え:②が正しい用法。①は「単刀直入」の意味(前置きなしに本題に入る)と文の内容(前置きが長い)が矛盾しているため誤り。③は「意気消沈」の意味(元気を失うこと)と文の内容(周囲を元気づける)が矛盾しているため誤り。
確認問題
問題
次の(1)〜(3)の意味を表す四字熟語を、後の語群からそれぞれ選べ。
(1) 周囲を敵に囲まれ、味方が誰もいない状況 (2) 互いに励まし合い、競い合って向上すること (3) 人によって考えや好みがそれぞれ違うこと
【語群】十人十色・四面楚歌・切磋琢磨
答え
(1) 四面楚歌 (2) 切磋琢磨 (3) 十人十色