古典(古文) / 古文文法・用言の活用

よくある間違い

間違い1: 已然形を現代語の「仮定形」の感覚で訳してしまう

よくある誤答例

「見れば」の「見れ」を已然形だと知りつつ、常に「もし見るならば」という仮定の意味で訳してしまう。

なぜ間違いなのか

現代語の仮定形は「見れば」=「もし見るなら」という仮定条件専用ですが、古文の已然形+「ば」は、多くの場合確定条件(「ので」「すると」)を表します。已然形は「已(すで)にそうなっている」ことが前提の形だからです。

正しい考え方

已然形+「ば」は、基本的に「ので」「すると」という確定条件で訳し、文脈上どうしても仮定でしか意味が通らない場合にだけ仮定として訳す、という順番で考えましょう。古文で仮定条件を表したいときは、本来は未然形+「ば」を使います。

間違い2: 「ず」をつけた段階の音だけで上一段・上二段を判定してしまう

よくある誤答例

「過ぐ」に「ず」をつけて「過ぎず」となり、直前が「ぎ」(イ段)なので、それだけで「上一段活用」と判断してしまう。

なぜ間違いなのか

イ段の音は、上一段・上二段のどちらにも現れます。「ず」の直前がイ段だとわかった時点では、まだ2つの可能性が残っており、判定は終わっていません。

正しい考え方

イ段(またはエ段)だとわかったら、必ず終止形を確認するという2段階目の手順に進みましょう。終止形が「見る」のように「る」を伴うなら上一段(下一段ならエ段+る)、「過ぐ」のようにウ段1文字で終わるなら上二段(下二段ならエ段+ウ段1文字)です。

間違い3: 変格活用の動詞に、そのまま機械的に「ず」をつけてしまう

よくある誤答例

「あり」に「ず」をつけて「ありず」としてしまい、直前の音「り」がどの段か困ってしまう。

なぜ間違いなのか

「ず」を接続できるのは、動詞の未然形に対してです。ラ変動詞「あり」の未然形は「あら」なので、正しくは「あらず」です。動詞の見た目の形にそのまま「ず」を後ろにくっつけているだけでは、正しい未然形にたどり着けません。

正しい考え方

「ず」で判定する前に、まずその動詞が四段・上一段・上二段・下一段・下二段の規則活用なのか、カ変・サ変・ナ変・ラ変の変格活用なのかを、語形(「あり」「をり」ならラ変、「死ぬ」「往ぬ」ならナ変など)から見分けるくせをつけましょう。変格活用は語数が少ないので、活用表を丸ごと覚えてしまうのが結局いちばん速い方法です。

間違い4: 変格活用を「特殊だから覚えなくていい」と後回しにする

よくある誤答例

カ変・サ変・ナ変・ラ変は「例外」だからと軽視し、活用表を覚えずに、四段活用のパターンを当てはめて何となく読んでしまう。

なぜ間違いなのか

変格活用に属する動詞(来・す・死ぬ・往ぬ・あり・をりなど)は、語数こそ少ないものの、古文の中に登場する頻度は非常に高い基本語です。しかも、この後の単元で学ぶ助動詞の活用の型(「ラ変型」「ナ変型」など)は、まさにこの4つの変格活用を基準にして説明されます。

正しい考え方

変格活用は語数が少ないからこそ、四段などより先に丸暗記してしまうのが効率的です。特にラ変「あり」の活用は、助動詞「けり」「たり」「り」など多くの助動詞の活用パターンのひな形になっているので、最優先で覚えましょう。

間違い5: ラ変の終止形と連体形が違う形であることを意識しない

よくある誤答例

ある。」のような係り結びの文で、終止形と同じ「あり」で結ばれると思い込み、「ある」という連体形の結びを見て「活用の誤りではないか」と混乱してしまう。

なぜ間違いなのか

四段活用などでは終止形と連体形が同じ形(「書く」)になるため区別を意識しにくいのですが、ラ変は例外的に終止形「あり」・連体形「ある」と、はっきり形が違います。係り結びの「ぞ・なむ・や・か」は文末を連体形で結ぶ決まりなので、ラ変動詞が結びに来ると「ある」という、見慣れない形になります。

正しい考え方

ラ変(および助動詞のラ変型)は、終止形と連体形を別の形として、セットで覚えておきましょう。係り結びの結びの位置に「ある」「けれ」のような見慣れない形が来ても、あわてず「連体形(または已然形)で結ばれている」と考えられるようにしておくことが大切です。

間違い6: ク活用とシク活用を、終止形の見た目だけで判断しようとする

よくある誤答例

「高し」も「美し」も、終止形はどちらも「~し」で終わっているので、見分ける方法がわからず勘で答えてしまう。

なぜ間違いなのか

ク活用とシク活用は、終止形だけを見ても区別がつきません(どちらも「~し」で終わるため)。区別の手がかりは、終止形ではなく連用形にあります。

正しい考え方

判定に迷ったら、その形容詞を「なる(くなる)」の形にしてみましょう。「高くなる」のように「く」で終わればク活用、「美しくなる」のように「しく」で終わればシク活用です。現代語で「高い→高く」「美しい→美しく」のように、連用形を作る感覚と同じです。

間違い7: 補助活用(カリ活用)を「本活用の誤り」だと思ってしまう

よくある誤答例

「高かるべし」という形を見て、「高し」の活用表にない「かる」という形が使われているので、誤植か例外だと思い込んでしまう。

なぜ間違いなのか

形容詞には、本活用(高く・高し・高き・高けれ)とは別に、助動詞に続くための補助活用(カリ活用:高から・高かり・高かる・高かれ)という、もう1つの系列があります。「高かるべし」の「高かる」は、この補助活用の連体形です。

正しい考え方

形容詞・形容動詞の活用表は、本活用と補助活用の2段構えになっていることを最初から前提にしましょう。特に、下に助動詞(べし・けり・むなど)が続いている場合は、補助活用(カリ活用)が使われていることが多い、と意識しておくと戸惑いません。

間違い8: 形容動詞のタリ活用を、ナリ活用の言い換えだと思ってしまう

よくある誤答例

「堂々たり」を見て、「堂々なり」と同じ意味・同じ活用のグループだと考えてしまう。

なぜ間違いなのか

ナリ活用とタリ活用は、活用のパターンこそよく似ていますが(「に/なり」と「と/たり」のように、連用形の形に対応関係があります)、接続する語のタイプが違います。タリ活用は基本的に漢語(漢字2字の熟語)にしか付かず、和語にはナリ活用が使われます。

正しい考え方

「堂々」「漫々」のような漢語に付いていれば、迷わずタリ活用と判断してよい、というルールを持っておきましょう。タリ活用は『平家物語』のような和漢混淆文でよく使われるので、そうした文体の作品を読むときは特に意識するとよいでしょう。

間違い9: 語幹と活用語尾の境目を、すべての活用の種類で同じように考えてしまう

よくある誤答例

上一段活用の「見る」について、四段活用の「書く」と同じ感覚で、「見」を語幹、「る」を活用語尾だと機械的に区切ってしまい、活用しても「見」の部分は変化しない、と考えてしまう。

なぜ間違いなのか

実はこの理解自体は正しいのですが、上一段活用の動詞は活用語尾がすべてイ段の音のままなので、語幹と活用語尾の境目が非常にわかりにくく、「活用しているのかどうか」自体を見失いやすいという別の問題が起こります。

正しい考え方

上一段活用(および下一段活用)は、活用のたびに音そのものはほとんど変わらず、後ろに「る・れ・よ」が付くかどうかだけが変わる、という特徴を持つグループだと割り切って覚えましょう。語幹と語尾を厳密に分けようとするより、「見/見る/見れ/見よ」のように、活用形ごとの完成した形をセットで覚えるほうが実戦的です。