漢字・語彙・文法 / 漢字の読み書き
同音異義語
要点整理
日本語には、音読みが同じでも、使われている漢字が違えば意味がまったく異なる言葉がたくさんあります。これを同音異義語と呼びます。会話では前後の文脈や声の調子でなんとなく通じてしまいますが、文章の中で正しい漢字を選んだり、書き取り問題で正しい漢字を書いたりするには、それぞれの語の意味を正確に区別しておく必要があります。
同音異義語を見分けるコツは、音だけで覚えるのではなく、「その語がどんな場面で使われるか」を、短い例文とセットで覚えることです。以下に、入試や日常の文章でよく出会う同音異義語のグループを整理します。
「いぎ」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 異議 | 反対の意見 | 会議の決定に異議を唱える。 |
| 意義 | 物事の持つ意味・価値 | この活動には大きな意義がある。 |
| 異義 | 異なる意味 | この言葉には同音異義の語が多い。 |
「たいしょう」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 対象 | 働きかけの相手・目当てとなるもの | このアンケートは高校生を対象としている。 |
| 対称 | 両側がつり合っていること | 左右対称の建物。 |
| 対照 | 照らし合わせて比べること、違いがきわだつこと | 二つの案を対照して検討する。姉と妹は性格が対照的だ。 |
「ついきゅう」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 追求 | 目的のものを追い求めること | 利益を追求する。 |
| 追究 | 物事を深く調べ、明らかにしようとすること | 真理を追究する。 |
| 追及 | 責任などを問いつめること | 事故の責任を追及する。 |
「かんしん」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 関心 | 気にかけること、興味 | 環境問題に関心を持つ。 |
| 感心 | 立派だと感じ入ること | 彼の努力に感心した。 |
| 歓心 | 喜ぶ気持ち、人の気に入られようとすること | 上司の歓心を買う。 |
「ほしょう」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 保証 | 間違いないと請け合うこと | 品質を保証する。 |
| 保障 | 立場や権利などを守ること | 社会保障制度。安全保障。 |
| 補償 | 与えた損害をお金などで埋め合わせること | 被害者に損害を補償する。 |
「せいさく」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 制作 | 芸術作品などをつくること | 映画を制作する。 |
| 製作 | 実用品・道具などをつくること | 部品を製作する。 |
| 政策 | 政治上の方針 | 経済政策を発表する。 |
「かいほう」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 開放 | 出入り自由にすること、制限をなくすこと | 校庭を一般に開放する。 |
| 解放 | 束縛や制限から解き放つこと | 人質を解放する。重い責任から解放される。 |
| 介抱 | 病人やけが人の世話をすること | 酔った友人を介抱する。 |
| 快方 | 病気やけがが良くなっていくこと | 病状は快方に向かっている。 |
「しゅうしゅう」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 収拾 | 混乱をおさめ、まとめること | 事態の収拾を図る。 |
| 収集 | 物を集めること | 切手を収集する。 |
「かいてい」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 改定 | それまでの定めを新しく決め直すこと | 料金を改定する。 |
| 改訂 | 書物などの内容を直すこと | 教科書を改訂する。 |
「しんちょう」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 慎重 | 注意深く、軽々しく行動しないこと | 慎重に検討する。 |
| 身長 | 背の高さ | 身長を測る。 |
| 伸長 | 長さや力量がのびること | 学力の伸長が見られる。 |
「ようい」のグループ
| 漢字 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 用意 | 前もって準備すること | 食事を用意する。 |
| 容易 | たやすいこと、簡単なこと | この問題を解くのは容易ではない。 |
例題
例題1(基本)
問題
次の( )に入る最も適当な語を、あとの語群から選べ。
彼の発言には( )があるが、内容そのものは理解できる。
【語群】異議・意義・異義
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文の意味は「彼の発言には反対する部分があるが」ということなので、「反対の意見」を意味する語を選びます。「意義」(価値・意味)や「異義」(異なる意味)では、この文脈に合いません。
答え:異議
例題2(標準)
問題
次の文中の傍線部を、正しい漢字に直せ。
政府は新しい経済タイサクを発表し、企業の製品セイサクを支援することにした。
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1つ目の「タイサク」は、状況に応じて対応する方法という意味なので「対策」です(この語自体は同音異義語というより、文脈から適切な語を選ぶ問題ですが、続く「セイサク」との対比で整理しておきましょう)。
2つ目の「セイサク」は、直前に「企業の製品」とあるので、実用品をつくることを意味する「製作」が適切です。政治の方針を表す「政策」や、芸術作品をつくることを表す「制作」ではありません。
答え:1つ目=対策、2つ目=製作
例題3(応用)
問題
次の文中の傍線部ア・イの「ほしょう」を、それぞれ最も適当な漢字に直せ。
この契約書には、商品の品質をア:ほしょうする条項と、事故が起きた場合に被害者へイ:ほしょうする条項が定められている。
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アは「品質を(間違いないと)請け合う」という意味なので「保証」です。イは「事故で生じた損害を埋め合わせる」という意味なので「補償」です。
なお、権利や立場を守るという意味の「保障」(社会保障、安全保障など)は、この文脈のどちらにも当てはまりません。「保証」「保障」「補償」の3つは、意味の違いを混同しやすい代表的な同音異義語のグループなので、それぞれの使われる場面とあわせて区別しておきましょう。
答え:ア=保証、イ=補償
確認問題
問題
次の文中の傍線部を、正しい漢字に直せ。
彼女は他人のかんしんを買うために努力を惜しまなかったが、周囲はその実力にもかんしんしていた。
答え
1つ目=歓心(人に気に入られようとする気持ち)、2つ目=感心(立派だと感じ入ること)。