現代文 / 設問対応の技術

理由説明問題の解き方

要点整理

理由説明問題の基本原則

「傍線部『〜』はなぜか」「なぜ筆者はそう考えるのか」といった設問は、傍線部を結果とみなし、その**原因(理由)**を本文中から探し出す問題です。傍線部内容説明問題が「同じ内容の言い換え」を探す問題であったのに対し、理由説明問題は「原因と結果の因果関係」を探す問題である、という違いをまず意識しましょう。

解答は、最終的に「〜から。」「〜ため。」のように、理由として答えられる形にまとめます。

「なぜなら」型:理由が明示されている場合

文章によっては、傍線部の直後に「なぜなら〜からだ」という、理由をはっきりと示す表現が続くことがあります。この場合は、「なぜなら」の後に続く内容をそのまま整理すれば解答になるため、比較的取り組みやすいパターンです。

ただし、「なぜなら」に続く内容が抽象的・比喩的な場合は、傍線部内容説明問題と同様に、さらにその内容を本文の別の箇所で具体化する必要があることもあります。

因果関係を示す表現を手がかりにする

理由が「なぜなら」のように明示されていない場合でも、文中には因果関係を示す表現がちりばめられています。これらを手がかりに、原因に当たる箇所を探しましょう。

表現 役割
〜だから/〜ため/〜ので 直前(または直後)が原因であることを示す
そのため/したがって/だから 直前が原因、直後が結果であることを示す
〜のだ/〜のである 直前の内容が、理由の説明であることを示す
原因は〜にある/背景には〜がある 続く内容が原因そのものであることを示す

理由説明の手順

  1. 傍線部を、原因を問われている「結果」の部分として確認する。
  2. 傍線部の直前・直後に、因果関係を示す表現がないかを探す。
  3. 見つかった原因の候補が、傍線部の内容と論理的につながるかを確認する(代入して「(原因)だから、(傍線部の内容)になる」と読んでみて、違和感がないかを確かめる)。
  4. 理由が1つとは限らないので、原因が複数の段落にまたがって積み重ねられている場合は、それらをすべて拾い出す。
  5. 見つけた原因を、「〜から。」「〜ため。」という理由の文型でまとめる。

因果関係を反転させない

理由説明問題で最も注意すべき間違いは、原因と結果を取り違えてしまうことです。「Aだから、Bという結果になった」という関係を、うっかり「Bだから、Aという結果になった」と逆に読んでしまうと、まったく見当違いの解答になってしまいます。因果関係を示す表現(〜だから、〜ため)を見つけたら、必ずどちらが原因でどちらが結果かを、丁寧に確認する習慣をつけましょう。

例題

例題1(基本)

問題

次の文章の傍線部「多くの人が旅先で写真を撮りすぎてしまう」のはなぜか、説明せよ。

多くの人が旅先で写真を撮りすぎてしまう。なぜなら、目の前の景色を見ているその瞬間よりも、後で見返したときの記録として残すことの方に、意識が向いてしまうからだ。

解答・解説を見る

傍線部の直後に「なぜなら〜からだ」という、理由を明示する表現があります。この場合は、その内容をそのまま整理すれば解答になります。

「目の前の景色を見ているその瞬間よりも、後で見返したときの記録として残すことの方に、意識が向いてしまうから」という部分が、そのまま理由に当たります。

答え:目の前の景色を見ている瞬間よりも、後で見返す記録として残すことに意識が向いてしまうから。

例題2(標準)

問題

次の文章の傍線部「その提案は受け入れられなかった」のはなぜか、40字以内で説明せよ。

会議で若手社員が、業務の一部を自動化するツールの導入を提案した。導入コストは決して安くはなかったが、長期的には十分に見合う効果が見込めるはずだった。しかし、その提案は受け入れられなかった。目先の予算削減を重視する空気が、会議の場を支配していたためである。

解答・解説を見る

理由を示す表現を探すと、傍線部の直後に「〜ためである」という、原因を示す典型的な表現が見つかります。「目先の予算削減を重視する空気が、会議の場を支配していたため」が、直接の理由に当たります。

ここで注意したいのは、「導入コストが安くなかったから」という、傍線部より前に書かれた情報に飛びついてしまう誤りです。導入コストが高いこと自体は事実の説明にすぎず、それだけでは提案が却下された直接の理由にはなりません。あくまで「なぜ却下されたか」という問いに対する直接の答えは、「目先の予算削減を重視する空気が支配していたため」という、傍線部直後の一文です。

答え:長期的な効果よりも、目先の予算削減を重視する空気が会議の場を支配していたから。(39字)

例題3(応用)

問題

次の文章の傍線部「彼はその依頼を、あえて断った」のはなぜか、本文中の複数の理由をふまえて60字程度で説明せよ。

長年勤めた職場から、後任の育成を頼まれた職人がいた。彼はその依頼を、あえて断った。技術は、言葉で説明されて覚えるものではなく、失敗を重ねながら自分の手で掴み取るものだと、彼自身がそうやって身につけてきたからだ。加えて、手取り足取り教えてしまえば、教わる側は自分で工夫する力を育てる機会を持てないまま、表面的な手順だけを覚えて終わってしまうと、彼は懸念していた。

解答・解説を見る

この文章には、理由が2つ積み重ねられています。1つ目は「技術は、言葉で説明されて覚えるものではなく、失敗を重ねながら自分の手で掴み取るものだと、彼自身がそうやって身につけてきたから」という、彼自身の経験に基づく理由です。2つ目は「加えて」という添加の接続語のあとに続く、「手取り足取り教えてしまえば、教わる側が自分で工夫する力を育てる機会を持てないまま終わってしまうと懸念していた」という理由です。

「加えて」という接続語は、理由が1つだけでなく、複数積み重ねられていることを示す重要なサインです。このサインを見逃すと、1つ目の理由だけで解答を終えてしまい、不十分な説明になってしまいます。

答え:技術は自分の手で掴み取るものだと自身の経験から考えていたことに加え、手取り足取り教えると相手が自分で工夫する力を育てられないと懸念していたから。

確認問題

問題

次の文章の傍線部「彼女はその会議で、あえて反対意見を最初に述べた」のはなぜか、説明せよ。

彼女はその会議で、あえて反対意見を最初に述べた。最初に賛成意見ばかりが並んでしまうと、後から異なる意見を言い出しにくい空気ができてしまうことを、これまでの経験から知っていたからだ。

答え

最初に賛成意見ばかりが並ぶと、後から異なる意見を言い出しにくい空気ができることを、経験から知っていたから。