現代文 / 頻出テーマ・キーワード
評論文キーワード集
要点整理
なぜカタカナのキーワードを押さえる必要があるのか
評論文、とくに社会・文化・思想を扱う文章には、外来語(カタカナ語)の専門用語が頻繁に登場します。これらの語は、日本語に完全に対応する言葉がないために、そのままカタカナで使われていることが多く、意味を知らないまま読み進めると、文章全体の論旨を見失う原因になります。逆に、頻出のキーワードをあらかじめ押さえておけば、初めて読む評論文でも、キーワード一つひとつの意味で立ち止まることなく、論の流れに集中できます。
評論文頻出のカタカナキーワード
| 語 | 意味 |
|---|---|
| アイデンティティ | 自分が自分であるという一貫した感覚(自己同一性)。「自分とは何者か」という問いへの答えの核。 |
| パラダイム | ある時代・分野で共有される、物事の見方・考え方の枠組み。「パラダイムシフト」で使われる。 |
| イデオロギー | 政治・社会のあり方についての、体系立った考え方・思想の枠組み。 |
| ステレオタイプ | 特定の集団に対して抱かれる、単純化・固定化されたイメージ。 |
| グローバリゼーション(グローバル化) | 経済・文化・情報が国境を越えて結びつき、世界規模で一体化していく動き。 |
| コンテクスト(文脈) | 言葉や出来事の意味を規定する、周囲の状況・背景関係。 |
| リテラシー | ある分野の情報を正しく読み解き、活用する能力(例:情報リテラシー、メディアリテラシー)。 |
| ダイバーシティ(多様性) | 人種・性別・価値観など、異なる属性・背景を持つ人々が共存している状態。 |
| ディスコース(言説) | ある時代・社会で広く共有され、繰り返し語られる、特定のものの語り方・言い回しの体系。 |
| ヘゲモニー | ある集団・国家・文化が、他に対して持つ支配的な影響力・主導権。 |
| オリエンタリズム | 西洋が東洋を、実態とは異なる異国的・神秘的、あるいは劣ったものとして描いてきた見方・表象のしかた。 |
| コミュニティ | 共通の地域・関心・価値観によって結びついた人々の集まり。 |
| システム | 相互に関連しあう要素全体が、一つのまとまりとして機能する仕組み。 |
| サブカルチャー | 社会の主流文化(メインカルチャー)に対して、特定の集団の間で支持される独自の文化。 |
キーワードは「対」や「関連語」で覚えると効率がよい
カタカナキーワードの中には、互いに関連づけて覚えると理解が深まるものがあります。たとえば、「パラダイム」(ある時代に共有される考え方の枠組み)と「イデオロギー」(政治・社会についての考え方の体系)は、どちらも「多くの人が無自覚に前提としている、ものの見方の枠組み」という点で共通しています。また、「ステレオタイプ」(単純化された固定観念)は、しばしば「多様性(ダイバーシティ)」を尊重する主張と対比される形で登場します。このように、キーワードを個別に丸暗記するのではなく、評論文の中でどのような文脈・対比の中で使われることが多いかとセットで押さえると、記憶に定着しやすくなります。
例題
例題1(基本)
問題
次の文中の空欄に入る語として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
交通と通信の技術革新によって、人・モノ・情報が国境を越えて瞬時に行き交うようになった。この( )の進展は、経済的な結びつきを強める一方で、各地域の独自の文化を均質化させる側面も持っている。
① アイデンティティ ② グローバリゼーション ③ ステレオタイプ ④ コミュニティ
解答・解説を見る
空欄の前後を確認します。「人・モノ・情報が国境を越えて瞬時に行き交うようになった」「経済的な結びつきを強める」「各地域の独自の文化を均質化させる」という記述は、いずれも世界規模での一体化を表しており、これは「グローバリゼーション」の定義と一致します。①「アイデンティティ」は自己同一性を表す語で、この文脈(国境を越えた結びつき)には合いません。③「ステレオタイプ」は固定観念を表す語であり、文脈と無関係です。④「コミュニティ」は特定の地域・関心でまとまった集団を指し、世界規模の結びつきを表すには適していません。
答え:②
例題2(標準)
問題
次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
「理系の生徒は数学が得意で、文系の生徒は数学が苦手だ」としばしば言われる。しかし実際には、理系の生徒の中にも数学に苦手意識を持つ者は少なくないし、文系を選びながら数学を得意とする生徒もいる。にもかかわらず、こうした単純化されたイメージは、進路指導の場面などで、今なお根強く語られ続けている。
この文章で説明されている「単純化されたイメージ」を表す語として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① パラダイム ② ステレオタイプ ③ ヘゲモニー ④ リテラシー
解答・解説を見る
本文は、「理系は数学が得意、文系は数学が苦手」という決めつけが、実際の個人差を無視した単純化されたイメージであり、それにもかかわらず根強く語られ続けている、という内容です。特定の集団(ここでは理系・文系という区分)に対して抱かれる、単純化・固定化されたイメージという性質は、まさに「ステレオタイプ」の定義そのものです。
①「パラダイム」は、ある時代・分野全体で共有される、より大きな物事の見方の枠組みを指し、「理系は数学が得意」という個別の決めつけを表す語としては規模が合いません。③「ヘゲモニー」は支配的な影響力を指す語で、この文脈とは対応しません。④「リテラシー」は情報を読み解き活用する能力を指し、固定観念とは異なる概念です。
答え:②
例題3(応用)
問題
次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
かつて天動説が当たり前とされていた時代、人々は太陽が地球の周りを回っていると信じて疑わなかった。地動説が唱えられた当初、それは荒唐無稽な説として退けられた。だが、観測技術の進歩とともに証拠が積み重なり、やがて人々のものの見方そのものが、天動説から地動説へと大きく組み替えられていった。このように、ある時代の人々が当然の前提としている、物事の捉え方の枠組みそのものが、根本から入れ替わることがある。
この文章で説明されている出来事を表す語句として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① イデオロギーの対立 ② パラダイムシフト(パラダイム転換) ③ ステレオタイプの解消 ④ グローバリゼーションの進展
解答・解説を見る
本文は、天動説から地動説へと、「ある時代の人々が当然の前提としている、物事の捉え方の枠組みそのものが、根本から入れ替わる」という出来事を説明しています。ある時代・分野で共有されている物事の見方の枠組み(パラダイム)そのものが根本的に組み替わることを、「パラダイムシフト(パラダイム転換)」と呼びます。天動説から地動説への転換は、この語を説明する際の代表例としてよく用いられます。
①「イデオロギーの対立」は、政治・社会的な思想同士がぶつかり合うことを指し、天文学の学説の転換とは性質が異なります。③「ステレオタイプの解消」は固定観念がなくなることを指し、本文の内容(枠組みそのものの転換)とは規模も性質も異なります。④「グローバリゼーションの進展」は世界規模での結びつきの強まりを指し、本文の内容と無関係です。
答え:②
確認問題
問題
次の文中の空欄に入る語として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
移民を多く受け入れてきたこの国では、異なる言語・宗教・生活習慣を持つ人々が共に暮らしている。こうした( )を尊重し、互いの違いを認め合う社会をどう築くかが、大きな課題となっている。
① アイデンティティ ② ダイバーシティ(多様性) ③ ヘゲモニー ④ オリエンタリズム
答え
② (「異なる言語・宗教・生活習慣を持つ人々が共に暮らしている」状態を指す語として、多様性=ダイバーシティが最も適当)