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現代文重要語彙(概念語)
要点整理
なぜ概念語を押さえる必要があるのか
評論文には、日常会話ではあまり使わない抽象的な語句(概念語)が数多く登場します。これらの語句の意味を正確に知らないままだと、一文一文の意味を取り違えたり、選択肢の微妙な言い回しの違いを判断できなかったりして、時間ばかりかかってしまいます。逆に、頻出の概念語をあらかじめ押さえておけば、評論文を読むスピードと正確さの両方が大きく向上します。
概念語の多くは、対になる語(対義語)とセットで使われます。まずは対義語のペアで覚え、そのあとに単独で重要な語句を押さえていきましょう。
対義語ペアで覚える概念語
| 語 | 対になる語 | 意味 |
|---|---|---|
| 主体 | 客体 | 主体=働きかける側。客体=働きかけられる対象となる側。 |
| 普遍 | 個別(特殊) | 普遍=あらゆる場合に当てはまること。個別=特定の一つ一つの事例に固有であること。 |
| 相対 | 絶対 | 相対=他との比較・関係の中で意味を持つこと。絶対=他と比較せずそれ自体で成り立つこと。 |
| 抽象 | 具体 | 抽象=個々の事物から共通の性質だけを取り出すこと。具体=個々の実際の事物・事例そのもの。 |
| 理性 | 感性 | 理性=論理的に考える能力。感性=感覚的に感じ取る能力。 |
| 内在 | 超越 | 内在=あるものの内側に存在すること。超越=あるものの外側・上位に位置すること。 |
| 帰納 | 演繹 | 帰納=個々の事例から一般的な法則を導き出す推論。演繹=一般的な法則から個々の結論を導き出す推論。 |
| 必然 | 偶然 | 必然=そうなることが避けられないこと。偶然=たまたまそうなったこと。 |
| 能動 | 受動 | 能動=自ら進んで働きかけること。受動=他からの働きかけを受け止めること。 |
| 実存 | 本質 | 実存=個々の具体的な人間の、現実の生き方・あり方。本質=あるものをそのものたらしめている根本的な性質。 |
単独で押さえておきたい概念語
| 語 | 意味 |
|---|---|
| 恣意的 | 必然的な根拠がなく、思いつきや都合で決められている様子。 |
| 自明 | 証明する必要がないほど、明らかであること。 |
| 逆説(パラドックス) | 一見矛盾するようで、実は真理を含んでいる表現・事態。 |
| 二項対立 | 二つの対立する概念を立てて、物事を整理する考え方(例:自然/文化、主観/客観)。 |
| 弁証法 | 対立する二つの主張(正・反)を、より高い次元で統合する(合)ことで発展させていく思考法。 |
| 記号 | ある意味を指し示すために用いられる、音・文字・図形などのしるし。言語も一種の記号体系として論じられる。 |
| 敷衍する | ある事柄の意味を、さらに押し広げて説明すること。 |
| 相克 | 二つの物事・立場が、互いに対立し、せめぎ合うこと。 |
| 通念 | 世間一般に広く行き渡っている、当たり前とされている考え方。 |
| アイロニー(皮肉) | 表面上の意味と、実際に伝えたい意味とがずれている(反対になっている)表現。 |
概念語を「対」で押さえるメリット
評論文の多くは、二つの対立する概念(二項対立)を軸に議論を組み立てます。「主体と客体」「普遍と個別」「相対と絶対」といった対義語のペアを押さえておくと、筆者がどちらの概念を肯定的に(あるいは否定的に)扱っているのかを、素早く見分けられるようになります。たとえば、「近代は自然を客体として支配の対象にしてきた」という一文からは、筆者が「主体が客体を一方的に支配する」という近代的な構図を批判的に捉えていることが読み取れます。
例題
例題1(基本)
問題
次の文中の空欄に入る語句として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
近代科学は、自然を人間が観察し利用する対象、すなわち( )として捉えることで、大きく発展してきた。
① 主体 ② 客体 ③ 本質 ④ 逆説
解答・解説を見る
空欄の直前に「人間が観察し利用する対象」とあります。「対象」という言葉から、これは働きかける側(主体)ではなく、働きかけられる側を指していることがわかります。「主体・客体」の対義語ペアにおいて、働きかけの対象となる側を表す語は「客体」です。①「主体」は働きかける側を指すので、文脈上「人間」に対応する語であり、空欄には入りません。③「本質」、④「逆説」は、いずれも「対象」という言葉と直接結びつく語ではありません。
答え:②
例題2(標準)
問題
次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
言葉の音と意味の結びつきに、必然的な理由はない。「イヌ」という音の並びが、あの四本足の動物を指さなければならない理由はどこにもなく、別の音であってもよかったはずである。この結びつきは、いわば社会の中でたまたま取り決められた約束事にすぎない。
傍線部が説明している性質を表す語として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 普遍的 ② 恣意的 ③ 絶対的 ④ 必然的
解答・解説を見る
本文は、「言葉の音と意味の結びつきに、必然的な理由はない」「別の音であってもよかったはずである」「たまたま取り決められた約束事にすぎない」と述べています。これは、必然的な根拠がなく、その場の都合や慣習によって決められているという性質そのものを説明しており、これはまさに「恣意的」の定義と一致します。
①「普遍的」は、あらゆる場合に当てはまることを意味し、本文の「たまたま」という記述と矛盾します。③「絶対的」、④「必然的」は、いずれも「そうならざるを得ない」という意味合いを持ち、本文が述べる「必然的な理由はない」という内容と正反対です。
答え:②
例題3(応用)
問題
次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
「急いでいるときほど、遠回りに見える道を選んだほうが結局早く着く」という言い回しがある。一見、矛盾しているように聞こえるが、実際には、近道に見える道ほど、混雑や信号など、思わぬ時間のロスを含んでいることが多い。この言い回しは、常識的な予想に反しているように見えながら、経験的な真理を的確に言い当てているのである。
この文章で説明されている言い回しの性質を表す語として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 通念 ② 自明 ③ 逆説(パラドックス) ④ 二項対立
解答・解説を見る
この文章では、「一見、矛盾しているように聞こえるが」「常識的な予想に反しているように見えながら」「経験的な真理を的確に言い当てている」という表現が使われています。表面的には矛盾・非常識に見えながら、実は真理を突いているという性質は、まさに「逆説(パラドックス)」の定義そのものです。
①「通念」は、世間一般に広く行き渡っている当たり前の考え方を指しますが、本文はむしろ「常識的な予想に反する」言い回しを説明しており、通念そのものの説明ではありません。②「自明」は証明の必要がないほど明らかなことを指し、「一見矛盾している」という本文の記述と相容れません。④「二項対立」は、二つの対立する概念を立てて整理する考え方であり、この文章の内容(一つの言い回しの性質)とは対応しません。
答え:③
確認問題
問題
次の文中の空欄に入る語句として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
どの民族にも共通して見られる感情表現がある一方で、その国・地域だけに特有の慣習も数多く存在する。人類学では、前者を( A )的な特徴、後者を( B )的な特徴と呼んで区別する。
① A:主体 B:客体 ② A:普遍 B:個別 ③ A:抽象 B:具体 ④ A:絶対 B:相対
答え
② (Aは「どの民族にも共通」なので普遍、Bは「その国・地域だけに特有」なので個別)