古典(古文) / 助動詞

演習問題

演習問題

問題1

問題

次は『竹取物語』の冒頭部分である。傍線部①「ありけり」・②「いひける」について、それぞれの「けり」の活用形と、②の活用形になっている理由を答えよ。

今は昔、竹取の翁といふもの、①ありけり。(中略)名をば、さぬきの造となむ②いひける

解答・解説を見る

①「ありけり」は文末で言い切られているので、「けり」は終止形です。

②「いひける」の「ける」は連体形です。この文には係助詞「なむ」があります。「なむ」は文末を連体形で結ぶ係り結びを起こす助詞なので(joshi-keigo単元で詳しく学びます)、文末の「けり」が終止形ではなく連体形「ける」になっています。

答え:①終止形 ②連体形(係助詞「なむ」による係り結びのため)

問題2

問題

次は『竹取物語』の一節である。傍線部「ゐたり」の「たり」の意味を答え、完了・存続のどちらの意味で使われているか、文脈から判断せよ。

それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり

解答・解説を見る

「ゐ」は動詞「ゐる(居る)」の連用形で、そこに完了・存続の助動詞「たり」が続いています。

文脈上、かぐや姫がその場に「座っている」状態がすでに成立し、それが続いている様子を表しているので、これは動作の完了そのものよりも、存続(~ている)の意味で読むのが自然です。

答え:存続(そこに座っている、という状態が続いている様子を表す)

問題3

問題

次は『平家物語』の冒頭部分である。傍線部「滅びぬ」の「ぬ」の文法的な意味と活用形を答えよ。

おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂には滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

解答・解説を見る

「滅び」は動詞「滅ぶ」(上二段活用)の連用形です。連用形に接続する「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」です(打消の助動詞「ず」は未然形接続なので、ここには当てはまりません)。

読点(、)の位置で文が言い切られているので、終止形です。

答え:完了・終止形(勢いの盛んな者もついには滅んでしまう、の意)

問題4

問題

次の『徒然草』冒頭の一節について、傍線部「つれづれなる」の「なる」が、助動詞の断定「なり」の連体形ではない理由を説明せよ。

つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて……

解答・解説を見る

一見、断定の助動詞「なり」の連体形のように見えますが、「つれづれ」は単独の体言(名詞)ではなく、「つれづれなり」という1つの形容動詞(ナリ活用)の語幹です。「つれづれなり」は「することがなく、手持ち無沙汰である」という意味の形容動詞で、その連体形が「つれづれなる」です。

助動詞の断定「なり」であれば、直前に独立した体言(名詞)が来るはずですが、「つれづれ」は「つれづれなり」という1語の形容動詞の一部分なので、ここでの「なる」は助動詞ではなく、形容動詞の活用語尾です。

答え:「つれづれ」は独立した体言ではなく、形容動詞「つれづれなり」の語幹であるため、「なる」は助動詞ではなく形容動詞の活用語尾である。

問題5

問題

『伊勢物語』所収の在原業平の和歌「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」について、傍線部「せば」「まし」が作る構文の名称と、この歌の意味を答えよ。

解答・解説を見る

「せば」は、助動詞「き」の未然形「せ」に接続助詞「ば」が付いた形です。これが文末の「まし」(反実仮想の助動詞)と呼応して、「ましかば(せば)まし」という反実仮想の構文を作っています。

答え:反実仮想の構文。「もし世の中に桜が全く無かったなら、春を過ごす人の心はもっとのどかであっただろうに」という意味(実際には桜があるので、人の心はのどかでいられない、という気持ちを表す)。

問題6

問題

『万葉集』に収められた持統天皇の和歌「春過ぎて夏来るらし白妙の衣干したり天の香具山」について、傍線部「らし」の意味と、その根拠になっているものを答えよ。

解答・解説を見る

「らし」は推定の助動詞です。単なる想像ではなく、目に見える根拠に基づく推量である点が特徴でした。

この歌では、香具山に白い衣が干してあるのが見える、という視覚的な根拠から、「もう夏が来たに違いない」と推し量っています。

答え:推定。香具山に白い衣が干してある、という実際に目に見える光景が根拠になっている。

問題7

問題

次の(創作した例文)の傍線部「参らむずる」について、含まれる助動詞の意味と、この助動詞が主に使われる文体上の特徴を答えよ。

「『とくとく参らむずる』とて、急ぎ出でぬ。」

解答・解説を見る

「参らむずる」の「むずる」は、助動詞「むず」の連体形です(「むず」の活用は「むず・むずる・むずれ」)。「むず」は「む」に「とす」が結びついてできた語で、意味は「む」とほぼ同じ(ここでは意志、「すぐに参ろう」の意)ですが、語気がやや強く、主に会話文でよく使われるという特徴があります。

答え:意志(すぐに参ろう、の意)。「むず」は会話文に多く使われる。

問題8

問題

次の(創作した例文)の傍線部①「聞こゆなり」・②「笛の音なり」について、それぞれの「なり」が断定・伝聞推定のどちらであるかを、接続の違いに注目して答えよ。

①「奥の御堂より、笛の音、遥かに聞こゆなり。」 ②「これは、名高き笛の音なり。」

解答・解説を見る

①「聞こゆ」は動詞「聞こゆ」(下二段活用)の終止形です。終止形に接続する「なり」は伝聞推定です。ここでは実際に聞こえてくる音を根拠にしているので、推定の意味で読みます。→ 伝聞推定(のうち推定)

②「笛の音」は体言(名詞)です。体言に接続する「なり」は断定です。→ 断定

答え:①伝聞推定(終止形接続のため) ②断定(体言接続のため)

問題9

問題

次の(創作した例文)①〜④の傍線部「る・らる」について、それぞれ受身・尊敬・自発・可能のどの意味にあたるかを答えよ。

① 「敵に矢を射られて、深手を負ふ。」 ② 「昔の恋の、今さらに思ひ出でらて、涙こぼるる。」 ③ 「上の仰せられけることを、皆承る。」 ④ 「暗くては、文字も見えず、書かず。」

解答・解説を見る

① 「敵に矢を射られて」は、敵という他者の動作によって「射る」という動作を受けています。「(何か)によって~される」の関係が成り立つので → 受身

② 「思ひ出でらる」は、心情・知覚を表す動詞「思ひ出づ」に付いています。心情動詞+る・らるは自発の可能性が高いというルールに当てはまり、「自然と思い出されて」の意味です → 自発

③ 「上(天皇や高貴な人物)の仰せらるる」は、動作主が高貴な人物であり、敬意を払うべき文脈です → 尊敬

④ 直後に打消の助動詞「ず」を伴っています(「書かれず」)。打消を伴う「る・らる」は可能の可能性が高く、「書くことができない」の意味です → 可能

答え:①受身 ②自発 ③尊敬 ④可能