漢字・語彙・文法 / 漢字の読み書き

間違えやすい漢字・書き取り頻出漢字

要点整理

これまでの2つの単元では、「同音異義語」(読みは同じで漢字が違う熟語)と「同訓異字」(訓読みは同じで漢字が違う1字)を扱いました。この単元で扱う「間違えやすい漢字」は、これらとは少し性質が異なります。意味は理解しているのに、字の形が似ているために、うっかり別の漢字を書いてしまうという、書き取りの現場で起こりやすい間違いに焦点を当てます。

字形が似ていて間違えやすい漢字

見た目の形が非常によく似ているため、書き取りの際に混同しやすい漢字の組を整理します。それぞれの字がどんな熟語で使われるかを、あわせて覚えておきましょう。

漢字の組 見分け方のポイント 熟語の例
未・末 「未」は「まだ〜ない」(未来・未定)、「末」は「おわり・すえ」(末尾・年末) 未定/末尾
士・土 「士」は人(武士・士気)、「土」は大地(土地・国土) 兵士/土地
己・巳・已 いずれも「コ・シ・イ」と読む形の似た字。「己」は自分自身(自己・利己)、「巳」は十二支の「み」(巳年)、「已」は「すでに」(已然形)を表す 自己/巳年/已然形
烏・鳥 「鳥」から横線を1本減らすと「烏」になる。「鳥」はとり全般、「烏」はからす 白鳥/烏合の衆
微・徴 どちらも細部に関わる字で形が似ている。「微」は「かすか・小さい」(微妙・微生物)、「徴」は「しるし・呼び出す」(特徴・徴収) 微妙/特徴
治・冶 「治」は「さんずい」で水や政治を治める意味(政治・治療)、「冶」は「にすい」で金属を溶かして形作る意味(陶冶・鍛冶) 政治/鍛冶
侵・浸・寝 いずれも「シン」と読む。「侵」は他の領域に入り込む(侵入・侵害)、「浸」は水にひたる(浸水・浸透)、「寝」は眠る(就寝・寝室) 侵入/浸水/就寝
複・腹・復 いずれも「フク」と読む。「複」は入り組む(複雑・複数)、「腹」は体の一部(腹痛・空腹)、「復」は元に戻る(回復・往復) 複雑/腹痛/回復
講・構・購 いずれも「コウ」と読む。「講」は話す・説く(講演・講義)、「構」は組み立てる(構造・構成)、「購」はお金を払って手に入れる(購入・購読) 講演/構造/購入
積・績・債 「積」と「績」は「セキ」、「債」は「サイ」。「積」は積み重ねる(面積・積雪)、「績」は成し遂げた仕事(業績・成績)、「債」は借り・貸し(負債・債権) 面積/業績/負債

部首の違いが意味の違いを表す

上の表からもわかるように、多くの「間違えやすい漢字」は、共通する部分(音を表す部分)は同じで、部首(意味を表す部分)だけが違う、という組み合わせになっています。たとえば「講・構・購」はすべて「冓」という部分を共有していますが、部首が「言(ことば)」「木(き)」「貝(お金)」と違うため、意味もそれぞれ「話す」「組み立てる」「購入する」に分かれています。

漢字を書き取るときに迷ったら、「その熟語の意味は、体・水・言葉・お金・木材など、どの分野に関係しているか」を考え、それに合った部首を持つ字を選ぶようにすると、誤字を防ぎやすくなります。

書き取りで誤字になりやすい熟語

同じ読み方をする別の言葉と混同して、誤った漢字を書いてしまいやすい熟語もあります。

  • 異動と移動:「異動」は勤務先や役職が変わること(人事異動)、「移動」は場所が変わること全般を表す。人の配置換えの話には「異動」を使う。
  • 専門:「専門」の「門」を、形の似た「問」と書き間違えやすい。「専門」はある分野を専らにする、という意味の熟語であることを意識しておく。
  • 意外と以外:「意外」は予想と違うこと(意外な結果)、「以外」はそれを除いた他のもの(これ以外の方法)を表す。どちらも「いがい」と読むため、書き取りで混同しやすい。

例題

例題1(基本)

問題

次の文中の傍線部の読みが「ミ」であるものを、あとの語群からすべて選べ。

【語群】自己・巳年・已然形

解答・解説を見る

「己・巳・已」は形が似ていますが、読み方も意味もそれぞれ異なります。「自己」の「己」は「コ」、「已然形」の「已」は「イ」と読み、いずれも「ミ」ではありません。十二支の「み」を表す「巳」だけが「ミ」と読みます。

答え:巳年

例題2(標準)

問題

次の文中の傍線部を、正しい漢字に直せ。

彼は鉄工所で働く父の姿を見て育ち、自らも金属をとかして道具を作るヤの技術を身につけたいと考えるようになった。

解答・解説を見る

「ヤ」は、金属を高温で溶かして形を作るという意味なので、「にすい」の付いた「冶」を使う「鍛冶」が正解です。「さんずい」の付いた「治」は、水や政治を「治める」という意味で使われる字で、金属を加工する意味では使いません。

答え:鍛冶

例題3(応用)

問題

次の文中の傍線部ア〜ウの「コウ」を、それぞれ最も適当な漢字1字で答えよ。

大学でア:コウ義を受けたあと、新しい橋のイ:コウ造について説明する本をウ:コウ入した。

解答・解説を見る

アは「大学の授業を受ける」という意味なので、話す・説くことに関わる「言」を含む「講」(講義)です。イは「橋の組み立て・構造」という意味なので、組み立てることに関わる「木」を含む「構」(構造)です。ウは「お金を払って本を手に入れる」という意味なので、お金に関わる「貝」を含む「購」(購入)です。

「講・構・購」はいずれも「コウ」と読み、共通する部分(冓)を持つため字形も似ていますが、部首(言・木・貝)の違いに注目すると、意味の違いとあわせて正確に書き分けられます。

答え:ア=講、イ=構、ウ=購

確認問題

問題

次の文中の傍線部ア・イを、それぞれ正しい漢字に直せ。

彼はこの1年でア:セイセキを大きく伸ばしただけでなく、部長からもその働きぶりをイ:トクチョウ的だと評価された。

答え

ア=成績(糸へんの「績」で「なしとげた仕事の出来ばえ」の意味)、イ=特徴(彳〈ぎょうにんべん〉を含む「徴」で「際立った性質」の意味)。