文学史
用語集
- ノーベル文学賞
- スウェーデン・アカデミーが選考する国際的な文学賞です。日本人としては、1968年に川端康成が、1994年に大江健三郎が受賞しています。 (戦後〜現代文学(戦後派・第三の新人から現代まで))
- プロレタリア文学
- 労働者階級(プロレタリアート)の生活や、資本主義社会の矛盾を描き、社会変革を志向した文学運動です。小林多喜二の『蟹工船』が代表作です。 (大正〜昭和戦前文学(白樺派・耽美派・プロレタリア文学・新感覚派))
- ますらをぶり
- 『万葉集』の歌風を評した言葉で、素朴で力強く、感情をおおらかに、まっすぐ詠み上げる男性的な作風を指します。 (上代文学(奈良時代:万葉集・古事記・風土記))
- もののあはれ
- 『源氏物語』などに表れる、人生や自然の移ろいに触れたときに感じる、しみじみとした情趣・情感を指す言葉です。江戸時代の国学者・本居宣長が『源氏物語』を評して用いた概念として知られます。 (中古文学(平安時代:源氏物語・枕草子・古今和歌集))
- をかし
- 『枕草子』を特徴づける美意識で、物事を明るく知的に捉え、そのおもしろさ・興味深さを見出す感覚を指します。しみじみとした「もののあはれ」と対比して語られます。 (中古文学(平安時代:源氏物語・枕草子・古今和歌集))
- 記紀
- 『古事記』と『日本書紀』を合わせた呼び方です。ともに8世紀初めに成立した、神話・伝説を含む日本最古級の歴史書です。 (上代文学(奈良時代:万葉集・古事記・風土記))
- 元禄文化
- 江戸時代前期、17世紀末から18世紀初め(元禄年間前後)に、主に上方(京都・大阪)を中心に栄えた、町人が担い手となった文化です。井原西鶴・松尾芭蕉・近松門左衛門は、いずれもこの元禄文化を代表する作者です。 (近世文学(江戸時代:井原西鶴・松尾芭蕉・近松門左衛門))
- 言文一致
- 書き言葉(文語)を、話し言葉(口語)に近づけて文章を書こうとする運動、およびその文体のことです。二葉亭四迷の『浮雲』が先駆けとされます。 (明治文学(写実主義・浪漫主義:坪内逍遥・夏目漱石・森鴎外))
- 国風文化
- 平安時代中期以降、遣唐使の廃止などを背景に発達した、日本独自の貴族文化のことです。かな文学の発達は、この国風文化を代表する成果の一つです。 (中古文学(平安時代:源氏物語・枕草子・古今和歌集))
- 三大随筆
- 日本の代表的な随筆3作品、すなわち平安時代の『枕草子』、鎌倉時代の『方丈記』『徒然草』を合わせた呼び方です。 (中世文学(鎌倉・室町時代:平家物語・徒然草・新古今和歌集))
- 私小説
- 作者自身の実体験や心境を、脚色を抑えてほぼそのまま素材とする小説の形式です。自然主義から発展し、大正・昭和の文学にも大きな影響を与えました。 (大正〜昭和戦前文学(白樺派・耽美派・プロレタリア文学・新感覚派))
- 自然主義
- 人間や社会の現実を、理想化せず、時にみにくい面も含めてありのままに暴露的に描こうとする文学上の立場です。田山花袋・島崎藤村らが代表です。 (明治文学(写実主義・浪漫主義:坪内逍遥・夏目漱石・森鴎外))
- 写実主義
- 現実をありのままに、客観的に描写しようとする文学上の立場です。坪内逍遥が理論を、二葉亭四迷が実作を先導しました。 (明治文学(写実主義・浪漫主義:坪内逍遥・夏目漱石・森鴎外))
- 女手(おんなで)
- 平安時代に発達した、ひらがなの当時の呼び名です。主に女性が私的な文章を書く際に用いたため、この名があります。 (中古文学(平安時代:源氏物語・枕草子・古今和歌集))
- 蕉風俳諧
- 松尾芭蕉が確立した、単なる言葉遊びを超えて、自然や人生の深い味わいを詠み込んだ、芸術性の高い俳諧の作風です。 (近世文学(江戸時代:井原西鶴・松尾芭蕉・近松門左衛門))
- 上代文学
- 文字資料の残る最も古い時代(奈良時代を中心とし、飛鳥時代を含めることもある)の文学の総称です。口承文学から、漢字を用いた記載文学へ移り変わる過渡期にあたります。 (上代文学(奈良時代:万葉集・古事記・風土記))
- 新感覚派
- 大正末期から昭和初期にかけて、既成の写実的な表現にとらわれない、斬新な比喩や感覚的な文体を追求した流派です。川端康成・横光利一が代表です。 (大正〜昭和戦前文学(白樺派・耽美派・プロレタリア文学・新感覚派))
- 人形浄瑠璃
- 三味線の伴奏に合わせて太夫が語る「浄瑠璃」に合わせて、人形を操って演じる伝統芸能です。近松門左衛門が数多くの脚本(戯曲)を手がけました。 (近世文学(江戸時代:井原西鶴・松尾芭蕉・近松門左衛門))
- 世話物
- 近松門左衛門の浄瑠璃作品の分類の一つで、同時代の町人社会に実際に起きた事件(心中事件など)を題材とした作品群です。 (近世文学(江戸時代:井原西鶴・松尾芭蕉・近松門左衛門))
- 戦後派
- 第二次世界大戦直後に登場した作家群で、戦争体験や、極限状況における人間の在り方を、重厚なテーマとして描きました。野間宏・大岡昇平らが代表です。 (戦後〜現代文学(戦後派・第三の新人から現代まで))
- 第三の新人
- 戦後派に続いて登場した作家群で、戦争という大きなテーマよりも、日常生活の中の心理や人間関係を、私小説的な手法で描いた点に特徴があります。遠藤周作・安岡章太郎らが代表です。 (戦後〜現代文学(戦後派・第三の新人から現代まで))
- 耽美派
- 道徳や社会性よりも、美そのものを追求することを至上のものとする文学上の立場です。谷崎潤一郎・永井荷風らが代表です。 (大正〜昭和戦前文学(白樺派・耽美派・プロレタリア文学・新感覚派))
- 勅撰和歌集
- 天皇や上皇の命によって編纂された和歌集のことです。『古今和歌集』はその最初の例にあたります。 (中古文学(平安時代:源氏物語・枕草子・古今和歌集))
- 白樺派
- 雑誌『白樺』を拠点とした文学者集団で、人道主義・理想主義を掲げ、自己の個性や生命力を肯定的に描いた流派です。志賀直哉・武者小路実篤・有島武郎らが代表です。 (大正〜昭和戦前文学(白樺派・耽美派・プロレタリア文学・新感覚派))
- 八代集
- 平安時代の『古今和歌集』から鎌倉時代の『新古今和歌集』まで、8つの勅撰和歌集を合わせた呼び方です。 (中世文学(鎌倉・室町時代:平家物語・徒然草・新古今和歌集))
- 浮世草子
- 江戸時代前期(元禄期)に成立した、町人の生活や恋愛、金銭をめぐる出来事などを写実的・娯楽的に描いた小説のジャンルです。井原西鶴が確立しました。 (近世文学(江戸時代:井原西鶴・松尾芭蕉・近松門左衛門))
- 変体漢文
- 漢文の語順や文法を崩し、日本語の語順に近づけたり、日本語特有の言い回しを漢字で表したりする、日本化した漢文の文体です。『古事記』の文体がその代表例です。 (上代文学(奈良時代:万葉集・古事記・風土記))
- 本歌取り
- 昔の有名な和歌(本歌)の語句や発想を意図的に取り入れて、新しい和歌を詠む技法です。『新古今和歌集』の時代に高度に発達しました。 (中世文学(鎌倉・室町時代:平家物語・徒然草・新古今和歌集))
- 万葉仮名
- 漢字の音や訓を借りて、日本語の音を一字一字表記する方法です。まだ仮名文字が生まれていなかった上代に、『万葉集』などで用いられました。 (上代文学(奈良時代:万葉集・古事記・風土記))
- 無常観
- すべてのものは絶えず移り変わり、永遠に同じ状態であり続けるものはないという仏教的な世界観です。戦乱や災厄が続いた中世に広く共有され、中世文学全体を貫く精神となりました。 (中世文学(鎌倉・室町時代:平家物語・徒然草・新古今和歌集))
- 余裕派(高踏派)
- 自然主義の主観を排した暴露的な作風とは距離を置き、知的な余裕や理知を持って人生を見つめる作風を指します。夏目漱石・森鴎外が代表とされます。 (明治文学(写実主義・浪漫主義:坪内逍遥・夏目漱石・森鴎外))
- 浪漫主義(ロマン主義)
- 個人の感情や理想、自我の解放を情熱的に描こうとする文学上の立場です。写実主義のあとに、森鴎外・樋口一葉らによって展開されました。 (明治文学(写実主義・浪漫主義:坪内逍遥・夏目漱石・森鴎外))
- 和漢混淆文
- 和文(かな中心の文体)と漢文訓読調の文体を混ぜ合わせた文体です。力強い調子を出すのに適しており、『平家物語』の文体として知られます。 (中世文学(鎌倉・室町時代:平家物語・徒然草・新古今和歌集))