現代文
共通テスト対策
この科目の共通テストでの傾向
共通テストの国語は、現代文(論理的な文章・文学的な文章)と古典(古文・漢文)を合わせて解答する、80分の試験です。現代文分野は、一般的に**大問1が「論理的な文章」(評論文)、大問2が「文学的な文章」(小説)**という構成で出題されます。全問マーク式(選択式)であり、記述式の解答はありません。
大問1の評論文では、単一の文章を読ませるだけでなく、本文に関連する図表・データや、もう一つの短い文章(資料)を組み合わせて出題する複合問題が定着しています。単に文章の内容を理解するだけでなく、本文と資料の内容を照らし合わせ、共通点や相違点を整理する力が求められます。テーマとしては、この単元で学んだ「言語論」「身体論」「他者論」「近代批判」といった頻出テーマが扱われることが多く、背景知識があると、初めて読む文章でも展開を予測しやすくなります。
大問2の小説では、比較的短い一場面が抜き出され、登場人物の心情とその変化、表現技法の効果を問う設問が中心になります。共通テストの小説問題の特徴として、本文の一部について、生徒同士が話し合う会話文が設問の中に組み込まれる形式がしばしば見られます。この形式では、会話の流れに沿って、空欄に入る内容を本文の記述と照らし合わせながら選ぶ力が必要です。
共通テストの選択肢は、「本文の一部分とは合致するが、全体としては本文の趣旨とずれている」という、非常に紛らわしい誤答が意図的に作られているのが特徴です。したがって、選択肢を選ぶ際は、選択肢の文全体が本文のどの記述と対応しているかを一文一文丁寧に確認し、部分的な一致だけで飛びつかないことが重要です。時間配分としては、現代文だけで十分な時間をかけすぎると、古典に回す時間が不足しがちなので、普段の演習から時間を計って解く習慣をつけておきましょう。
単元別の対策ポイント
現代文の読み方の基本
- パラグラフリーディング(段落ごとに「その段落で何が言いたいか」を一言でまとめながら読む方法)を徹底し、文章全体の構造を素早くつかめるようにしておきましょう。
- 指示語(「これ」「そのような」など)が指す内容を、その都度本文中で確認する習慣をつけると、選択肢の細かい言い換えに惑わされにくくなります。
- 対比構造(AとBが対比されている箇所)と、具体と抽象の関係(具体例がどの抽象的な主張を支えているか)を意識すると、共通テストの複合問題(本文と資料の対応関係を問う問題)にも対応しやすくなります。
設問対応の技術
- 傍線部内容説明問題・理由説明問題では、傍線部そのものだけでなく、その前後の文脈から根拠を探す基本動作を徹底しましょう。
- 共通テストは全問マーク式なので、選択肢問題の消去法(本文と矛盾する部分、本文に書かれていない要素を含む選択肢を機械的に除外していく方法)がとくに重要な武器になります。
- 空欄補充問題では、空欄の前後の接続関係(順接か逆接か、具体化か一般化か)を必ず確認してから選択肢を検討しましょう。
小説読解
- 心情把握の4つの手がかり(心情語、表情・しぐさなどの間接描写、行動・セリフ、情景描写)を総動員して、選択肢の中から本文に根拠のあるものを選ぶ練習を重ねましょう。
- 心情変化を問う設問では、「変化前→きっかけ→変化後」の3点セットを整理し、変化前と変化後を取り違えないよう注意しましょう。
- 表現技法(比喩、擬人法、体言止めなど)の効果を説明できるようにしておくと、選択肢の中の紛らわしい言い換えを見抜く力が身につきます。共通テスト特有の、生徒同士の会話文形式の設問にも、本文の該当箇所を素早く探して対応する練習をしておきましょう。
頻出テーマ・キーワード
- 「言語論」「身体論」「他者論」「近代批判」といった評論文の頻出テーマをあらかじめ押さえておくと、初見の文章でも展開の見通しを立てやすくなります。ただし、見通しはあくまで仮説として使い、最終的な根拠は必ず本文に置きましょう。
- 「主体/客体」「普遍/個別」「相対/絶対」などの対義語ペアと、「アイデンティティ」「パラダイム」といったカタカナキーワードの意味を正確に押さえておくと、選択肢の細かい表現の違いを判別する速度が上がります。
- 小説の頻出テーマ(成長・喪失・家族・他者との関係など)を知っておくと、文章全体の雰囲気をつかみやすくなりますが、心情の具体的な読み取りは、必ず本文の描写に基づいて行いましょう。
実戦問題
共通テスト形式の問題を解いて、実戦力を確認してみましょう。
実戦問題1
問題
次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
私たちは、辞書に載っている意味さえ覚えれば、言葉を正しく理解したことになると考えがちである。しかし、実際に言葉が使われる場面に立ち会うと、辞書的な意味だけでは説明のつかない、微妙なニュアンスの違いに気づかされることが多い。同じ「大丈夫」という一語でも、明るく言われるときと、うつむいて言われるときとでは、伝わる意味がまるで違う。言葉の意味は、辞書という固定された枠の中だけに存在するのではなく、それが発せられる状況、すなわち文脈との関わりの中で、そのつど作り直されているのである。
この文章で述べられている考え方として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 辞書に載っている意味こそが、言葉の唯一正しい意味である。 ② 言葉の意味は、それが使われる文脈との関わりの中で、そのつど形作られるものである。 ③ 「大丈夫」という言葉には、明るい意味しか存在しない。 ④ 言葉の意味を理解するには、辞書を暗記する以外に方法はない。
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本文最後の一文「言葉の意味は、辞書という固定された枠の中だけに存在するのではなく、それが発せられる状況、すなわち文脈との関わりの中で、そのつど作り直されているのである」が、この文章の主張そのものです。
①・④は、本文が否定している「辞書的な意味だけがすべて」という考え方をそのまま述べており、本文の趣旨と正反対です。③は「大丈夫」という語の具体例を、本文の趣旨(状況によって意味が変わること)とは違う形で単純化しすぎています。したがって、文脈による意味の変化を正しく捉えた②が最も適当です。
答え:②
実戦問題2
問題
次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
陶芸教室の見学に来ていた大輔は、講師の「もう十分だと思っても、あと三回、器を触ってみなさい」という言葉に、内心納得がいかないでいた。基礎練習のろくろに向き合い、言われたとおり回数を重ねていくうちに、指先の感覚が少しずつ変わっていくのを、大輔は確かに感じ取っていた。教室を出るころには、大輔は次の練習日を心待ちにしている自分に気づいていた。
大輔の心情は、本文全体を通してどのように変化したか。最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 講師への反発心が、練習を重ねる中での実感を経て、次の練習への前向きな気持ちへと変わった。 ② 陶芸への興味が、講師の指導方針への不信感へと変わった。 ③ 練習に対する意欲が、疲労によって徐々に失われていった。 ④ 講師の言葉に納得できないまま、最後まで気持ちは変わらなかった。
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変化前の心情は、「講師の……という言葉に、内心納得がいかないでいた」という部分から、指導方針への納得のいかなさ(反発に近い気持ち)だと読み取れます。
きっかけは、「言われたとおり回数を重ねていくうちに、指先の感覚が少しずつ変わっていくのを、大輔は確かに感じ取っていた」という、実際に練習を重ねる中での実感です。
変化後の心情は、「教室を出るころには、大輔は次の練習日を心待ちにしている自分に気づいていた」という描写から、前向きな期待の気持ちへと変わったことがわかります。
この3点セット(納得のいかなさ→練習を通じた実感→前向きな期待)を過不足なく説明しているのは①です。②・③・④は、いずれも変化の方向や内容が本文の記述と一致しません。
答え:①
実戦問題3
問題
次の文章と、それについて話し合う生徒の会話を読んで、後の問いに答えよ。
近代化の過程で、私たちは自然を「征服し、利用すべき対象」として扱う態度を強めてきた。工業化は生活を便利にした一方で、人間と自然との間にあった、対等ともいえる関わり方を、少しずつ失わせてもきた。自然を征服の対象としてのみ捉える限り、私たちは自然の一部でありながら、自然から切り離された存在であり続けるほかないのかもしれない。
生徒A:「この文章、自然を大事にしようっていう単純な話じゃなくて、もっと根本的な問題を指摘している気がする。」 生徒B:「そうだね。筆者が問題にしているのは、自然を( )という捉え方そのものなんじゃないかな。」 生徒A:「なるほど。だからこそ、人間と自然との関わり方を考え直す必要がある、という結論につながっているんだね。」
会話文中の空欄に入る内容として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 保護すべき、か弱い存在 ② 征服し、利用すべき一方的な対象 ③ 人間にとって無関係な存在 ④ 人間と対等な、征服すべき相手
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会話文の空欄補充問題では、空欄の前後の会話の流れと、本文の該当箇所を照らし合わせて判断します。生徒Bの発言は、「筆者が問題にしているのは、自然を( )という捉え方そのもの」という文脈です。
本文を確認すると、「自然を『征服し、利用すべき対象』として扱う態度」「自然を征服の対象としてのみ捉える限り」という記述があり、筆者はこの、自然を一方的に征服・利用する対象として捉える態度そのものを問題視していることがわかります。
①「保護すべき、か弱い存在」、③「人間にとって無関係な存在」は、本文に述べられていない捉え方です。④「人間と対等な、征服すべき相手」は、「対等」という言葉が「征服すべき」という言葉と矛盾しており、本文の内容(征服の対象として捉えることで、対等な関わりが失われた)とも一致しません。したがって、本文の記述に最も忠実な②が正解です。
答え:②