漢文

共通テスト対策

この科目の共通テストでの傾向

共通テストの国語では、漢文は独立した大問として出題され、多くの場合、現代文2題・古文1題とあわせて、限られた試験時間の中で解く必要があります。分量としては、白文(訓点のない原文)に近い短めの文章か、訓点付きの文章が示され、その内容に関する設問がいくつか続く、という構成が定番です。

出題の中心は、返り点・書き下し文・句法(否定・使役・受身・疑問反語・比較・仮定・詠嘆限定など)の理解を問う設問と、本文の内容そのもの(誰が何をしたか、登場人物の心情や、話全体の教訓・主張)を問う設問です。近年は、本文だけでなく、その内容について述べた別の文章(解説文・鑑賞文・現代語訳の一部など)や、漢詩とその押韻・対句に関する会話文がセットで示され、複数の資料を関連づけて読み取らせる出題も見られます。

漢文は、古文に比べて文章自体は短いことが多いですが、句法の知識がないと文の構造そのものを取り違えてしまう(否定と使役を逆にする、反語を平叙文として読んでしまう、など)という特徴があります。そのため、正確な知識にもとづいて素早く構造を把握する力が、得点に直結します。

時間配分としては、まず設問に目を通して「何を問われているか」を把握してから本文を読むと、どこに注目すべきかがつかみやすくなります。書き下し文や解釈を問う設問は、句法の知識があれば短時間で解けることが多いので、先に片付けてしまうのも効果的です。

単元別の対策ポイント

基本句形・訓点

  • 返り点(レ点・一二点・上下点)の意味とルールを、実際に書き下し文を作りながら体にしみ込ませておきましょう。特に、複数の返り点が組み合わさった文(一二点とレ点の併用など)は、頻出のひっかけポイントです。
  • 再読文字(未・将・当・応・宜・猶・盍 など)は、1つの字を2回読むという特殊な性質上、単独で出題されやすい範囲です。それぞれの読み方と意味をセットで正確に覚えておきましょう。
  • 白文に自分で返り点を付ける問題も出題されます。まず文の中心となる述語(動詞)を見つけ、そこから語順の入れ替えを考える練習をしておくと安心です。

重要句法

  • 否定(不・非・無・未・莫)、疑問・反語(何・安・豈 など)、使役(使・令)、受身(見・於・被)、比較・選択(如・若・与其)、仮定(如・若・苟)、詠嘆・限定(哉・耳・のみ)は、共通テストで繰り返し問われる中核の知識です。それぞれの句形とその返読・送り仮名をセットで覚えましょう。
  • 特に、二重否定(〜ないことはない=強い肯定)や、反語(〜だろうか、いや〜ない)は、字面だけを見ると平叙文と誤読しやすいので、文末の助字(乎・哉・や など)とセットで判断する習慣をつけておくことが重要です。
  • 複数の句法が1つの文の中で組み合わさっている場合、動詞に近いところから外側へ、1つずつ意味を積み重ねて読み解く練習をしておきましょう。

漢文読解

  • 於・而・矣・焉などの置き字は、それ自体は読まないものの、直前の語の送り仮名に意味が反映されています。置き字を正しく処理できないと、書き下し文そのものを間違えてしまうので、まずここを確実にしておきましょう。
  • 漢詩が出題される場合、句数・字数から形式(五言絶句・七言絶句・五言律詩・七言律詩)を判定し、押韻(五言は偶数句末、七言は第1句末+偶数句末が基本)や、律詩の頷聯・頸聯の対句に注目する視点を持っておくと、鑑賞文とセットの設問にも対応しやすくなります。
  • 主語が省略された文章では、「曰く」の前後に注目して話し手を確認し、会話の中の一人称・二人称(吾・我/子・汝)から話者と聞き手を整理する練習をしておきましょう。

実戦問題

共通テスト形式の問題を解いて、実戦力を確認してみましょう。

実戦問題1

問題

次の文を読んで、あとの問いに答えよ。

【本文】学㆑而不レ思則罔、思而不レ学則殆。 【書き下し文】学びて思はざれば則ち罔し、思ひて学ばざれば則ち殆ふし。

傍線部「則」の説明として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 「そして」という単純な並列を表している。 ② 「しかし」という逆接を表している。 ③ 前の内容(条件)を受けて、その結果・帰結を導いている。 ④ 文末に置かれ、疑問の語気を添えている。

解答・解説を見る

「則」は、前の部分で述べられた条件を受けて、「そうすると、そこで」という結果・帰結を導く働きをする字です。この文では、「学びて思はざれば」(学んでも自分の頭で考えなければ)という条件を受けて、「則ち罔し」(そうすると、ものごとの筋道がわからなくなる)という結果が続いています。後半の「思ひて学ばざれば則ち殆ふし」も同じ構造です。

①は「而」や「与」に近い働き、②は逆接の「而」に近い働きで、いずれも「則」の説明としては誤りです。④の疑問は文末の助字(乎・哉など)の働きなので、この文の「則」には当てはまりません。

答え:③

実戦問題2

問題

次の文を読んで、あとの問いに答えよ。

【本文】苛政猛㆑於虎也。 【書き下し文】苛政は虎よりも猛しなり。

傍線部「於」の働きとして最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 動作が行われる場所を示している。 ② 比較の基準(〜より・〜よりも)を示している。 ③ 受身の相手(〜に…される)を示している。 ④ 断定の語気を強めている。

解答・解説を見る

「於」の直前には形容詞「猛し」があり、「於」のあとには比較の対象となる「虎」が置かれています。形容詞のあとに「於+比較の対象」が続く形は、比較の句法の代表的なパターンで、「Aは、Bより(も)〜だ」という意味になります。したがって、この「於」は比較の基準を示す働きをしており、書き下し文では「虎よりも」の「より(も)」という送り仮名として現れます。

①の場所を示す用法や、③の受身を示す用法も於にはありますが、この文のように形容詞の直後に置かれ、比較の対象が続く形では②の比較の用法と判断します。④の断定の語気を強める働きは「也」や「矣」に近い説明で、於の説明としては誤りです。

答え:②

実戦問題3

問題

次の詩を読んで、あとの問いに答えよ。

【本文】白日依㆑山尽、黄河入㆑海流。欲㆑窮㆑千里目、更上㆑一層楼。 【書き下し文】白日 山に依りて尽き、黄河 海に入りて流る。千里の目を窮めんと欲し、更に上る 一層の楼。

この詩の形式と、押韻している句の組み合わせとして最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 五言絶句であり、第1句と第3句で押韻している。 ② 五言絶句であり、第2句と第4句で押韻している。 ③ 七言絶句であり、第1句と第2句と第4句で押韻している。 ④ 七言律詩であり、第2句・第4句・第6句・第8句で押韻している。

解答・解説を見る

まず形式を確認します。句数は4句、1句の字数は5字なので、この詩は五言絶句です。この時点で③・④(七言)は誤りとわかります。

次に押韻を確認します。句末の字は、第1句「尽」、第2句「流」、第3句「目」、第4句「楼」です。「流」と「楼」が同じ響きのグループに属し、押韻しています。五言詩の押韻は、偶数句末(2句・4句)で踏むのが基本ルールなので、これと一致します。①は奇数句(第1句・第3句)としている点で誤りです。

答え:②