漢字・語彙・文法

共通テスト対策

この科目の共通テストでの傾向

共通テストの「国語」は、現代文(評論・小説)、古文、漢文という複数の大問から構成されており、「漢字・語彙・文法」という分野だけを独立して問う大問は基本的に存在しません。しかし、だからといってこの分野の対策が不要というわけではなく、むしろ他のすべての大問の得点を支える土台として、地味だが避けて通れない存在です。

まず漢字については、現代文の評論・小説それぞれの大問の冒頭(問1)に、傍線部の漢字の読み書きを問う小問が数問組み込まれる形式が定着しています。多くは、同音異義語・同訓異字を正しく使い分けられるかを問う、選択式の問題です。1問あたりの配点は大きくありませんが、問題数がまとまっているため、ここで手堅く得点しておくかどうかが、合計点に無視できない差を生みます。難易度自体は高くない分、確実に得点しておくべき「取りこぼし厳禁」のパートであるという心構えを持ちましょう。

次に語彙力(四字熟語・ことわざ・慣用句)は、独立した設問として単独で出題されることは多くありませんが、評論文・小説文の本文中に自然に登場したり、選択肢の文言そのものに使われたりします。語句の正確な意味を知らないと、本文の主旨や選択肢どうしの微妙なニュアンスの違いを読み取れず、結果的に内容理解の設問で失点する原因になります。語彙力は「知識問題」であると同時に、「読解力を支える土台」でもあると考えておくとよいでしょう。

最後に文法(現代文法・古典文法)は、現代文では品詞や助動詞の識別が直接問われることは少ないものの、選択肢の文の意味を正確に解釈する場面で暗黙のうちに使われています。そして何より、現代文法の基礎(用言の活用、助動詞の識別方法)は、古文・漢文で得点するための土台そのものです。「れる・られる」の4つの意味を識別する練習は、そのまま古文の助動詞「る・らる」の識別練習に直結し、動詞の活用の種類(特に下一段活用と文語の下二段活用の対応)は、古典文法の活用表を理解するための予備知識になります。

まとめると、この分野の対策は「点数に直結する漢字」「読解を支える語彙」「あとの単元(古典文法)への橋渡しとなる文法」という3つの異なる役割を持っています。目先の小問対策としてだけでなく、今後の学習全体の基礎固めとして、腰を据えて取り組む価値のある分野です。

単元別の対策ポイント

漢字の読み書き

  • 同音異義語・同訓異字は、単語だけを暗記するのではなく、必ず短い例文とセットで覚えましょう。「意外」と「以外」のように、文脈がなければ判断できない語が多いためです。
  • 間違えやすい漢字(書き取り頻出漢字)は、実際に手で書く練習を繰り返すことが最も効果的です。読めても書けない漢字は、共通テストのようなマークシート形式では読み問題として出題されても対応できますが、記述式の定期テストでは失点の原因になります。
  • 熟語の構成(似た意味の漢字を重ねる、上の字が下の字を修飾する、主語・述語の関係になる、など)を理解しておくと、初めて見る熟語の意味も推測しやすくなります。

語彙力

  • 四字熟語は、4字を「2字+2字」に分解し、それぞれの意味を確認してから全体の意味を考える習慣をつけましょう。故事成語由来のものは、由来となる話とセットで覚えると忘れにくくなります。
  • ことわざは、似た意味を持つ「類義のことわざ」と一緒に整理すると同時に、「善は急げ」と「急がば回れ」のように、一見矛盾して見えることわざのペアにも注意しましょう。それぞれが「何について」教えているかを区別できれば、記述問題にも対応できます。
  • 体の部位を使った慣用句は、部位ごとにグループ分けして覚えると、似た部位の慣用句(「頭」と「顔」など)を混同しにくくなります。文字面だけから意味を推測せず、正確な意味を1つずつ確認しましょう。

現代文法の基礎

  • 品詞分類は、「自立語か付属語か」「活用するかしないか」「言い切りの形」という3段階の質問に順番に答えるだけで、機械的に判定できます。丸暗記ではなく、判定の手順そのものを身につけましょう。
  • 動詞の活用の種類(五段・上一段・下一段・カ変・サ変)は、「ない」を続けたときの直前の音の段で判定します。特に、下一段活用の多くが文語の下二段活用に対応する(二段活用の一段化)という知識は、古典文法を学ぶときにそのまま役立ちます。
  • 「れる・られる」「そうだ」「ようだ」など、複数の意味を持つ助動詞は、直前の語の活用形(接続のしかた)に注目して意味を絞り込む練習をしておきましょう。この識別の考え方は、古文の助動詞の識別にもそのまま応用できます。

実戦問題

共通テスト形式の問題を解いて、実戦力を確認してみましょう。

実戦問題1

問題

次の文の傍線部「イガイ」を漢字で表したとき、同じ漢字を用いるものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

「彼の返事は、まったくイガイなものだった。」

① 教室イガイでは静かにしてください。 ② 彼イガイ、誰も反対しなかった。 ③ その結果は、誰にとってもイガイだった。 ④ 週末イガイは、いつも忙しい。

解答・解説を見る

問題文の「イガイ」は、「予想していたものと違って、驚くようなさま」という意味の「意外」です。

①・②・④の「イガイ」は、いずれも「それを除いて」という意味の「以外」で、①は「教室以外」、②は「彼以外」、④は「週末以外」と、それぞれ「~を除く」という意味で使われています。

③の「イガイ」は、「誰にとっても予想外だった」という文脈で、「意外」の意味で使われています。

答え:③

実戦問題2

問題

次の文章を読み、あとの問いに答えよ。

「インターネット上にあふれる情報は玉石混交であり、そのすべてを鵜呑みにすることは危険である。正しい知識を身につけるためには、情報の出所を確かめ、複数の情報源を比較する習慣を持つことが欠かせない。」

傍線部「玉石混交」の意味として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① 情報の量が非常に多く、とても把握しきれないこと。 ② すぐれたものと劣ったものとが、入り混じっていること。 ③ 情報がすぐに古くなり、価値を失ってしまうこと。 ④ 情報源によって、内容が大きく食い違っていること。

解答・解説を見る

「玉石混交」は、「玉(すぐれたもの)」と「石(劣ったもの)」が「混交(入り混じる)」という構成の四字熟語で、質の良いものと悪いものが入り混じっている状態を表します。

本文でも、「インターネット上の情報のすべてを鵜呑みにすることは危険」「情報の出所を確かめる」と述べられており、情報には質の良いものと悪いものが混在しているという文脈に合致します。

①は情報の「量」についての説明であり、質の混在については触れていないため誤りです。③・④も、それぞれ「情報の古さ」「情報源による食い違い」についての説明で、「玉石混交」本来の意味(質の良し悪しの混在)とは異なります。

答え:②

実戦問題3

問題

次の文の傍線部「られ」の意味として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

「卒業式で、校長先生が最後の挨拶を述べられた。」

① 受け身 ② 可能 ③ 自発 ④ 尊敬

解答・解説を見る

助動詞「れる・られる」の意味は、受け身・可能・自発・尊敬の4つがあり、文脈から判定します。

この文の主語は「校長先生」という、敬うべき人物です。また、「述べられた」は「お述べになった」と言い換えることができ、これは尊敬の意味を表す典型的な言い換え方です。

「(人)に」を補って受け身の意味にすることはできず(「誰かに述べられた」という被害・被動の関係にはなっていない)、「述べることができた」という可能の意味にも合いません。また、「述べる」は心の動きを表す動詞ではないため、自発の意味にもなりません。

答え:④