古典(古文)
共通テスト対策
この科目の共通テストでの傾向
共通テストの「国語」は、現代文2題・古文1題・漢文1題の合計4題構成で、90分の中で解答します。古文には配点45点前後が割り当てられるのが通例で、単純な文法知識の暗記だけでなく、文章全体の内容を正確に把握したうえで解答することが求められます。
出題される文章のジャンルは、物語・日記・随筆からの出題が中心で、和歌が本文中に含まれる出題も頻繁に見られます。近年の共通テストでは、一つの文章だけでなく、同じ登場人物や同じ和歌を題材にした複数の文章(本文と、それに関する解説文や別の古典作品からの引用)を組み合わせて出題する形式が増えており、単に本文を訳せるだけでなく、複数の情報を照らし合わせて考察する力も試されます。
設問は、語句の意味を問う問題(古今異義語や敬語の識別)、文法事項(助動詞・助詞・係り結び)の理解を問う問題、和歌の解釈、内容説明、そして複数の文章を比較して答える問題など、バラエティーに富んでいます。単語や文法を単独で覚えるだけでなく、それらを使って人物関係や場面を正確に読み取る、総合的な読解力が最終的な得点力に直結します。
時間配分としては、古文は現代文に比べて本文が短いことが多い一方、単語・文法の正確な知識がないと一文もつまずいてしまうため、まず語注や設問文から場面・人物関係のヒントを先に確認してから本文を読み始めると、効率よく解答できます。
単元別の対策ポイント
古文文法・用言の活用
- 動詞の活用の種類(四段・上一段・上二段・下一段・下二段・カ変・サ変・ナ変・ラ変)を、活用形ごとに素早く言えるようにしておきましょう。特に上二段・下二段は、現代語にない活用のパターンなので、繰り返し声に出して覚えるのが効果的です。
- 形容詞・形容動詞の活用(ク活用・シク活用、ナリ活用・タリ活用)も、動詞と同様に体系的に覚えておくと、助動詞の接続を判断する際に役立ちます。
- 歴史的仮名遣いの読み方(ゐ・ゑ・を、は行転呼音など)は、現代仮名遣いへの変換ルールとして早い段階で身につけておきましょう。
助動詞
- 助動詞は、意味・接続・活用の3点をセットで覚えることが最重要です。特に「る・らる」「す・さす」のように、複数の意味(受身・尊敬・可能・自発など)を持つ助動詞は、文脈判定の練習を繰り返しておきましょう。
- 「ぬ」「ね」のように、複数の助動詞の一部が同じ形になる紛らわしい語(識別問題)は、直前の活用形から逆算して判定する練習が効果的です。
- 助動詞の意味を正確に取れないと、文全体の時制や話し手の判断・推量のニュアンスを取り違えるので、和訳問題での失点につながりやすい点に注意しましょう。
助詞・敬語
- 格助詞「の」の4用法(主格・連体修飾格・同格・体言の代用)と、接続助詞「ば」の未然形接続(仮定条件)・已然形接続(確定条件)の違いは、共通テストで単独でも狙われやすい頻出事項です。
- 係り結び(ぞ・なむ・や・か→連体形、こそ→已然形)と、「や・か」の疑問・反語の識別は、和歌や会話文の解釈問題と絡めて出題されることが多いです。
- 敬語(尊敬・謙譲・丁寧)の種類を正確に見分け、そこから動作主・動作の相手の身分関係、さらには省略された主語を推定する力は、共通テストの古文で最も配点の高い読解問題に直結します。
古文読解
- 古今異義語(あはれ・をかし・つとめてなど)は、単語集の暗記だけでなく、実際の文章の中でどう使われているかを繰り返し確認しておきましょう。
- 主語把握のための手がかり(敬語・接続助詞・会話文の切れ目)を統合的に使う練習を、過去問演習を通じて重ねることが最も効果的です。
- 和歌の修辞(枕詞・序詞・掛詞・縁語)は、和歌単体の問題だけでなく、本文の内容理解や登場人物の心情読解に直結する形で出題されることが多いので、和歌が出てきたら必ず立ち止まって修辞を確認する習慣をつけましょう。
- ジャンル(物語・日記・説話・随筆)ごとの読み方の違いを意識し、初見の文章に対しても素早く見通しを立てられるようにしておきましょう。
実戦問題
共通テスト形式の問題を解いて、実戦力を確認してみましょう。
実戦問題1
問題
次の文章を読み、あとの問いに答えよ。
「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」
この文章に見られる筆者の姿勢として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 春の夜明けの光景を、恐ろしいものとして描いている。 ② 春の夜明けの光景に、趣・味わいを見出している。 ③ 春の夜明けの光景を、滑稽なものとして笑いのタネにしている。 ④ 春の夜明けの光景について、科学的な観察結果を報告している。
解答・解説を見る
この文章は『枕草子』の冒頭部分で、明るくなっていく空の色の変化を、繊細に、肯定的な感動をもって描写しています。清少納言の随筆に一貫する美意識は「をかし」(趣がある、味わい深い)という語に集約されるもので、この一節もその美意識に基づいて書かれています。恐怖や滑稽さ、客観的な科学報告とは方向性が異なります。
答え:②
実戦問題2
問題
次の和歌を読み、あとの問いに答えよ。
「花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」
この歌の傍線部「ふる」に掛けられている2つの意味の組み合わせとして最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 振る/古る ② 降る/経る ③ 触る/振る ④ 経る/触る
解答・解説を見る
「ふる」は、桜の花を衰えさせる「(長雨が)降る」という意味と、作者自身の容色が衰えるまでの「(年月が)経る」という意味の、2つを掛けた掛詞です。表面上は雨が降り続く情景を、同時に年月が過ぎ去っていく自分自身の人生を重ねて詠んでいます。
答え:②
実戦問題3
問題
次の文章を読み、あとの問いに答えよ。
「大納言、帝に事の由を奏し給ふ。」
この文の説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 「奏す」は尊敬語であり、動作主である大納言への敬意を表している。 ② 「奏す」は謙譲語であり、動作の相手である帝への敬意を表している。 ③ 「給ふ」は謙譲語であり、動作の相手である帝への敬意を表している。 ④ この文からは、大納言と帝のどちらの身分が高いかは判断できない。
解答・解説を見る
「奏す」は「言ふ」の謙譲語で、天皇に申し上げるという特別な意味を持ち、動作の相手である帝への敬意を表します。「給ふ」は尊敬の補助動詞で、動作主である大納言への敬意を表します。したがって①は「奏す」の種類を取り違えており誤り、③は「給ふ」の種類を取り違えており誤りです。謙譲語「奏す」によって、大納言が帝に対してへりくだっていることが示されているので、帝の方が大納言より身分が高いと判断でき、④も誤りです。
答え:②